彩 愛 美
欠けない月

笑顔と笑顔の 継ぎ目の中で
ふと見えて来る 翳りの表情
特別に重たい 事なんて無くても
心の中に潜む 闇に怯えて居る

何も起きなければ それでいい
今はただ深く おやすみなさいをして

欠けない月の光が 夜を巡り
不安に負けそうな心を 照らして行く
明日もまた笑顔で 過ごせるように
今夜楽しい 夢を下さい


どんより淀んだ 雲が漂う
青空が恋しく 想えて来るね
降りそうで降らない 中間の気持ち
乗れないバスを ずっと待ち続けるように

何かが起きてからでは 遅過ぎる
過敏な心が 眠れなくするけど

欠けない月の雫が 街を包む
潰れて行くような 心を膨らませて
あなたがまた笑顔に 戻れるように
今夜優しい 眠り下さい


特別じゃない 何も無い一日を繰り返して
笑顔で生きて行けるのが 一番だと想える
そんな柔らかい 月明かりの夜なのだから


欠けない月の明かりに 充ち溢れ
ベッドに鏤める 星屑の輝きで
明日からの笑顔が 煌めくように
今夜嬉しい 愛を下さい
彩 愛 美
ある満月の夜に

真平らな月の灯が
真平らな窓を抜け
仄暗いこの部屋に
陰影を映し出して
立体的に変え行く

個性の無い
目立たない
つまらない
僕の部屋は
誕生のよう
月の動きに
合わせては
時間軸毎に
変化をする

昼の間には
気付けない
部屋の表情
夜の空間に
閉ざされて
必要以上に
鋭敏な感覚
この部屋の
僅かな変化
驚いただけ

灯りを消して
隙間から射す
月光も見ずに
眠りに就くと
こんな夜とは
出逢えず居た

月に抱かれて
朝までずっと
眠れない夜を
過ごして居た
彩 愛 美
Candy Drop the Rain

もう少しだけ 側に居させてよ
何一つ話せなくても 構わないから
この花火が空に 散ってしまえば
それが最後なんだと 解っているから

最初で最後になる 浴衣だとか
着る事も無かった 今年の水着だとか

Can't I help my love 立ち停まったまま
見送る間に撮影出来ない 夕焼け空のように
不確実で曖昧な 記憶になって
何にも想い出せず 消えて行く


更々無い想いに 閉ざされて
何処にも逃れられない 恋愛音痴
恋花を上手に 咲かせられない
蕾にも気付かず 枯らせてしまう

使う事も無く買った カップだとか
まともに撮れなかった あなたの写真だとか

Candy drop the rain 雨に錆びて行く
自転車のスポークのように 誰も気にしなくなって
何時の間にか アルバムからも外されて
完全に忘れられて しまうのね


何時かは訪れる 旅の終わりの時が
その時に何を 残せばいいと言うの


Candy drop the rain この手から溢れて
再び掬う事出来ない 雨の雫のように
感触も薄れて 想い出せなくて
静かなノイズに 消されて行く
彩 愛 美
二酸化炭素

熱情は
長くは続かない

最初の頃は
全てが新鮮で
視る物聴く物
何もかもが
珍しく想えて
このままずっと
続けて行けると
信じていた

中頃には
気持ちだって
安定を保っていて
もうこの熱情を
停められる者等
何処にも居ないと
想い始めて
それ以上の何かを
求める事を
止めた

酸素は何時か
二酸化炭素へ
やがて熱情は
酸欠になって
次第に熱情は
覚めてしまう
換気して新しい
酸素を取り込む事も
忘れると言うのなら
もうこの恋も終わりね
彩 愛 美
二人で歩く一つの道

泣き言なんて もう通じなくなる
戻り道なんて 最初から無くて
一人勝手に 歩いて来た道も
これからは共に 拓く道に変わる

出逢いはただの 一つの切っ掛けで
そこから拡がる 無限の明日がある

あなたが選ぶ 私のす・べ・て
善いところも 悪いところも
二人で探す 新しい道は
しっかり手を繋ぎ 何時の日までも


病める時でも 健やかな時でも
なんて何処かで 聴いたような台詞でも
それが一番 はまる言葉だよと
心に記した 格言に成るの

想いは力 不可能を可能に
変えてしまうから 信じる今日がある

私が選ぶ あなたのす・べ・て
許す事と 信じる事と
二人で歩む これからの道
決して楽な事ばかりじゃ無いけど


海のように穏やかで 激しくて
山のように優しくて 厳しくて


二人で選ぶ 互いのす・べ・て
赤の他人が 家族に変わる
二人で生きる 本当の道を
負けないように 踏み締めて行く