哀切

過去ログ83 2012/10/24 6:00

◆徳川家康
さよなら、愛してる…否、愛していた。

夫婦の契りを交わし、共に互い無しでは生きられない…最後の最愛だと信じていたのだが、違ったみたいだな。

ワシの愛しき月にはもう触れられないが、どうかお前が息災で在るように。
これでさよならだ、三成。
今までワシの側に居てくれて有難う。

◆真田幸村
逢いたい…などと申しては、貴殿に叱られるだろうか。都合の良い男だと、呆れられるだろうか。

真の姿で紡ぐ事すら出来ぬ想い。なれど心は何時も、貴殿と共に……愛しているのだ、今も変わらず。

◆片倉小十郎
矢張り貴方は何一つ御解りになっちゃいねェ…。俺が如何程に貴方を想い慕うが故に突き放したかを…。

今迄の日々は何だったのか、それこそ思い出してみても頂きたい。…そして終わり際の貴方が繰り返し小十郎に告げた御言葉と、その都度御引き留めした事実も。其れを毎度如何ような心持ちで小十郎めが聞き受け縋っていたか…。漸く、貴方が繰り返し申し渡して参られた願いを叶えて差し上げた迄に過ぎませぬ。小十郎は何度と御縋りした其の結果を、今度こそ受け入れた迄…。一度吐いた言葉は取り消せぬと、小十郎は過去再三貴方に御忠告致した筈ですぞ。

全ては貴方の幸せを願うが故と、御解り頂きたい。断じて忘れた等申しますまい。小十郎は貴方と過ごした日々に、その場を取り繕うが為の嘘は一ツとして口に出した覚えはありませぬ。今はただ御傍を離れたというだけ、現に変わらず…宛先一ツ棄てる事無く貴方を御慕い致している。

今となっては貴方が見据える先は、頼る先は、甘える先は…唯一。其れを努々御忘れ下さいますな。また相見える機会は御座いましょう、その時こそ友として御相手を願えれば幸い。―――御息災であれ。

◆伊達政宗
あンな事を言ったのは八つ当たりだったな。
友人として傍に居たかった。其れを拒まれて、Ah…もうもう俺は要らねェんだと…そう思った。

台風が来た日も大丈夫かと声も掛けられねェ、最近寒いが風邪引いてねェか?腹壊してねェかと心配になっても掛けれない。宿を消したのは自分だが…お前は俺を好きだなンだ言ってこうもアッサリ離れられるなんてそれだけの存在だったンだな。