哀切

過去ログ88 2013/1/16 23:48

◆片倉小十郎
俺は、あの人に何かを与えられていたんだろうか。
貰った愛情がでかくて今は俺の胸に残り続けている、故にさみしいだとか、泣きてえだとかは思わねえが。
もうあの人の声を聞けねぇんだと実感した時に悲しくなるんだろうか。
だが、何かあったのかと、理由を聞かせてくれだのと、無意味に訊いたところであの人の邪魔をするだけだろう。仮に現し世の事情なら聞くだけでも失礼ってなもんだ。
哀しくねぇのは本当にあの人がくれた情が俺の内面深くまで染み着いているからだろう。
何か、あったのか。
めでたい事か、そうでない事か。
俺はあの人に何かを与えられたか?
あの人は元気なんだろうか。もっと感謝を言えば良かったか。

◆長曾我部元親
あれがアンタの愛した野郎の面かい…。
そんなら仕方ねえ。

悔しいが、俺よりもよっぽど深くアンタを愛してる野郎だ。
認めっちまえば乾いた心なんざ勝手に潮風にでも浚われて、この苦しみからも何時かはすっぱりおさらばよう。

ただな、アンタが幾ら否定しようと…俺だって心からアンタを愛してたんだぜ。

◆猿飛佐助
俺はこの世界に必要?要らないのか?分からなくなってきた。多分、もうこの存在自体が不必要なものに成り下がっちまってる。

誰も幸せに出来なかった。今まで出逢ったお人達の力になれなかった。傷付けもしたし、怒らせたし、悲しませた。俺様自身もそう、自分さえ幸せに出来ない。
じゃあ一体何の為に、何故、俺はここに居るんだ。誰の為にも、自分の為にもなれない。

この世界だけじゃない。もうお仕事だって忙しいってのに、俺の体はたかが数時間動いただけで使えなくなる。使い物にもならない存在。要らないんだろうなって、分かる。気付いてないと思うけど、人を人と見ない人間の目は戦慄する程冷たくて怖いもんなんだぜ。

誰も幸せに出来ない、体だって使い物にならない。この存在は本当に必要?必要とされない、誰の目にも止まらない、居ても居なくても同じ俺は…もう要らないよな。

◆真田幸村
如何に決意を固めようと、その顔を見ればそれだけで簡単に砕けてしまうこの覚悟。
お前の笑った顔が好きだ。包んでくれる、腕が好きだ。その声も瞳も、お前のすべてを愛している。
…だからこそ、この想いの差に耐えられぬ。我が儘な愚か者なのだ、俺は。

唯一と、誓ったのに…彼の御方との間で惑う心を抑えられぬのは、俺の弱さ故。…しかしそんなことすら、お前は気付いてはおらぬのであろうな。…気付いたところで引き留めてもくれぬ、か…