彩 愛 美
夢見る頃を過ぎても
雨雫に歪む硝子窓に 震える小指で書いてみた
あなたの名前が ブルーのイルミに滲んで
霞んでぼやけて 読めなくなってしまうわ
想わず溢れた 吐息の重さに空気まで沈む
夜のスクランブルに 飛び込んだら
きっと誰かが 肩にぶつかってくれるかなと
微かな期待さえも 打ち砕くようにすり抜ける
誰もこんな私に 構う程暇じゃないのね
今日も眠れない夜を
何時ものように 続けている
何時までも子供のままの気持ちで
夢見る頃を 過ぎても…
シュークリームが 上手く食べられない コルネが 上手く食べられない
あなたは口とか手とかを ベタベタにして
夢中になって 無心になって 食べているのね
幾ら声を掛けても まるで気付きもしないくらいに
そんなあなたがずっと 好きでした
何時からか過去形に 流されてしまう時間は
僅かに手を離した その隙間に割り込んで来て
誰にも届かない 場所まで遠ざかって行く
交わす言葉を 失くしたように
無音の闇を 拡げて行く
無邪気過ぎる 笑顔も泣き顔も
夢見る頃を 過ぎても…
昨日見ていた 夢などとうに
記憶の彼方に 沈んで行く
気後れしている 暇も無いのね
夢見る頃を 過ぎても… 夢見る頃を 過ぎても…