怪談集




 
  【No.27 Res.3】

サバイバルゲーム


1 Name
 
今夏も大分暑くなってきたので今年もそろそろ怪談噺をしようかなと思います。


これは今から十年以上前に鈴木♂の友人たちから聞いたお話なのですが
彼らが県内のとある運動公園でサバイバルゲームの夜戦を行ったときに
起ったというちょっと不思議なお話です。
サバイバルゲームとは二つのチームに別れて野山でエアガンを撃ち合う
という遊びなのですが、鈴木♂も'80年代後半から'90年代前半くらいには
この遊びに凝っていて、エアタンクを担いで野山を駆けておりました。


その運動公園というのは山の上というか岡の上にあって、公園までの一本道を
登って行かなければならなかったのだそうですが、その夜は二つのサークルが
合同で総勢十数人というちょっと大目な人数でゲームを行ったのだそうです。
 
 Del

2 Name
 
そうして集まった人たちは戦闘服に着替えてエアガンを持ち、二つのチームに
別れてゲームを行ったのですが、双方の戦力をできるだけ均等化する為に
チーム分けをする時は全員が輪になって集まり、じゃんけんのグーとパーで
敵、味方のチーム分けをしたそうです。
そしてそのじゃんけんは敵、味方が同じ人数になるまで数回行われるのですが
その夜に集まった人数は奇数だったので、どうしても片方のチームが一人だけ
多くなるという状態だったそうです。

そうやってゲームをやる度に全員集まって、じゃんけんでチーム分けをした
そうなのですが、何回目かのチーム分けをする時に双方の人数が何故か同じ数
になってしまったのだそうです。

最初にそれに気づいたのは鈴木♂の友人Aでした。
彼はその場で「ちょっとおかしいんじゃないのか?」と言い出したそうなのですが
すぐに別の友人Bが「黙れ!」とその場の気を制したそうです。
そうしてその場は終わり、各自それぞれのチームに別れてゲームを開始した
そうなのですが、そのゲームが終了して全員着替えて解散という時に
「誰か後から来たか?」とか「誰か山を登って来たか?」という会話というか
確認が為されたそうですが、そういった事は誰に聞いても無かったそうです。
 
 Del

3 Name
 
このお話は鈴木♂と友人A、Bが同席した時に聞いたお話なのですが
そういった事例には相手が嫌がる程、質問をする鈴木♂は友人Bに詳しく
聞いてみました。

鈴木♂:夜戦で暗かったので人数を間違えたのでは?
友人B:じゃんけんは照明というか街灯のある場所(東屋)で行ったので
    それはない。

鈴木♂:何故その場で「黙れ!」と一喝したのか?
友人B:ああやって友人Aを黙らせないとみんながそれに気づいて
    パニック状態になるかもしれないと思ったから。
    そうなると怪我人とか出たかも知れない。
    (彼は参加者の中で一番の年長者でした:鈴木♂)

鈴木♂:じゃんけんをした時に見慣れない顔や変わった服装の人物はいたか?
友人B:二つのサークルが合同で行ったので、例え見知らぬ人物がいても
    全員「相手サークルの人だろう」と思うので誰も不思議に思わなかった。
    服装は全員ゲーム用の服装というか戦闘服を着ていた。

鈴木♂:知らない間に誰か来て勝手に参加していたのでは?
友人B:運動公園は山の上にあってそこまで一本道だから、誰か来れば
    車やバイクのライトの灯りですぐに分かる。
    誰に聞いてもそういった事は無かった。

鈴木♂:じゃあ原因は何なんだろう?
友人B:原因は分からないが後から地元の人に聞いたら、その運動公園では
    既に二、三人が首を吊っていて隠れた自殺の名所だったらしい。
 
 Del

4 Name
 
この不思議なお話もここで終わります。
この怪現象の原因もやっぱり不明なのですが、自殺者の霊にしろ狸か狐に
化かされたにしろ、その怪人物?の服装がちゃんとゲーム用だったというが
面白いですね。

このお話から何か教訓を得るとしたら、例え不可解な出来事が発生しても
表立って無闇に騒いだりせず淡々とその場をこなすというのが結局は得策だ
という事じゃないかと鈴木♂は思います。

ちなみにこのお話に出てくる友人Bという人は多少の霊感を持っている人で
こういった場合での対応には慣れていたみたいです。
 
 Del

Password (投稿パス)
Name
Comment
Password (削除パス)
 
 

10659Hit.