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【No.31 Res.2】 墓参り 1 これは鈴木♂が現在乗っている愛車を買ったばかりの2000年か2001年の お盆に起こったお話です。
その日の夕方、鈴木♂は母方の先祖の墓参りをする為にひとりで愛車に乗って 墓地に向かいました。 そして無事に墓参りを済ませて帰路に着いたのですが墓地を出てからすぐに 車内に何かの違和感を感じました。 勿論、車内には鈴木♂ひとりしか乗っていないはずで、帰り道の途中の信号で 停まるとすぐに後ろを確認したのですが、やはり私ひとりしかこの車には 乗っていません。 しかし鈴木♂には何故か後部座席の左側に男性?が座っていて、こちらを 窺っているような気配を感じたのです。
それから家に着いた鈴木♂は夕食を済ませましたがTVを見るという訳でもなく 敷きっぱなしの布団の上に寝転んで携帯で怪談サイトを見ておりました。 するといつの頃からか鳴っていたのか分かりませんが部屋の入り口の辺りから 弱いながらもパシッ!とかピキッ!という氷の割れるような異音が断続的に 聞こえてきたのです。
2 墓地からの帰り道での違和感やそんな怪音が聞こえてきても、鈴木♂は 「これは全部気のせいだ」と思い込む事にしました。 墓地から何かを連れてきてその何かが自分の部屋の中に居るとは思いたく ありませんでしたから。 そして相変わらず寝転がったままの姿勢で携帯の怪談サイトを眺めていた のですが、やがて片手で持っている携帯の画面に表示されている怪談サイトの ページがボタンを押していないのに勝手に飛びました。
ここまで来ると何かがこの部屋の中に居るのだろうというのは間違いない みたいなのですが、その頃というかIモードが始まったばかりの頃の携帯サイト というのは怪しいサイトが多くて、ページに何らかのタグが仕込んであるという サイトも珍しくはありませんでしたから、鈴木♂はきっとこの怪談サイトも そういった類のサイトなのだろうと無理やり思い込み、別なサイトを見る事に しました。
そんな鈴木♂の徹底無視作戦が効いたのかそれからも怪音が続きましたが それ以外の怪異が起こる事も無く、かなり夜が深けてから鈴木♂は眠りに 着きました。 そしてその次の日の朝、起きてみると部屋の中には別に変わった様子もなく、 念の為に昨夜見た携帯サイトの同じページを見てみましたが、ページが勝手に 飛んでしまうという様な不具合は起こりませんでした。
3 その時乗っていた車に鈴木♂は現在でも乗っているのですが、その当時は イニシャルDが流行っていて、そのマンガに登場する赤いバッヂの付いた ホンダの車と鈴木♂の車が同じ車だったので、その頃は通学途中の小学生たち に手を振られるという事もよくありました。 霊感がゼロのはずの鈴木♂が車の中で感じた気配はちょっと気性の激しい 若い男性といった感じの気配でしたから、墓参りで墓地にやって来たそんな ちょっと場違いな車に彼?も乗ってみたくなったのかもしれません。
ちなみに多少の怪異なら無視するのが一番良いみたいです。 鈴木♂の友人で中学生までは幽霊と生きている人間の区別がつかないという 位にまではっきり見えた人がいるのですが、彼は幽霊を見つけても知らない フリというか完全に無視してきたそうです。 何故ならそれは幽霊は自分が生きている人には見えないというのが普通の状態 なのであって、自分が見えるという人に会うと嬉しくなって憑いてきてしまう からなのだそうです。
このお話は以前にもどこかで書いたのかもしれませんが「怪談集」という このサイトのコンテンツをこの前見ても見当たらなかったので今回新たに 書いてみました。 七年も同じサイトを続けていると記憶がちょっとあやふやになるものですね。
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