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【No.32 Res.1】 武家屋敷の怪 1 県内のとある城下町に家老クラスの武士が住んでいた古い武家屋敷がありまして 現在その建物は隣にある小さな博物館と併設された様な形になっていて その博物館に入館料を払って入場すれば誰でもその屋敷を見学できる様に なっているそうです。 そして今ではどうなのか分りませんが数年前まではその屋敷を訪れる観光客 サービスの為にその屋敷の囲炉裏で沸かしたお茶を給仕する市民ボランティア の方たちが数名おりました。 そしてそのボランティア活動をしていた方が鈴木♂の親族に語ったお話が 今回のお話です。
(一)切腹の間
その屋敷には切腹の間(せっぷくのま)と呼ばれる部屋がありまして その部屋に入ったある女性の観光客がいきなり倒れて気絶してしまった事が あったそうです。 当然の事ながら屋敷のスタッフたちは驚き、すぐに救急車を呼ぼうとした のですが、その女性と一緒に来たその女性の旦那がそれを押し止めました。 その訳を聞いてみるとその女性はこういった歴史的な建物や旧跡に行くと こうなってしまう事がよくあるのだそうでたぶん心配ないだろうとの事。
やがてこの女性は息を吹き返しましたが、どうしたのか?と聞いてみると 部屋の中に入ると刀を差した武士が三人居て、自分を凄い形相で睨み つけてきたので怖くなって気絶してしまったという事なのだそうです。 勿論、この屋敷には展示用の人形も置いていませんし、エキストラの 役者さんとかもおりません。
2 (二)神棚
これはある日の午前中、まだ観光客が訪れない様な早い時間帯に起こった お話だそうです。 その屋敷は古い武家屋敷ですからかなり立派な神棚があって、そこに毎朝 ガラスのコップに入った水をお供えしていたそうなのですが、その日 ボランティア活動に来ていた女性がその神棚の上で異変が起こっているのを 発見してすぐに屋敷の管理者を呼んだそうです。
その異変とは神棚にお供えしたはずの水がガラスのコップの中で ゴボゴボと音を立てて沸騰し蒸発して行くという現代科学の常識では 考えられない様な異常な事態だったと。 結局その二人はこの事態のあまりの異様さにただ見ているだけだったそうです。
鈴木♂が知っているこの屋敷の怪異はこれだけなのですが、実はこの屋敷が 一般公開される前にこの屋敷の留守番役として一人で寝泊まりしていた男性と 鈴木♂は多少の縁がありまして、鈴木♂の親族を通じてこの男性に当時の 屋敷の実態?を遠回しに聞いて貰った事があったのですが、その男性も 今となっては観光資源の一部となっているこの屋敷については詳しく語って くれませんでしたが、ただ「夜になるととても一人では居られなくなる様な 事はあった」とだけ話してくれたそうです。
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