怪談集




 
  【No.35 Res.0】

廃校舎〜二階の幽霊〜


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それらの証言を語る社員の中でも唯一はっきりと幽霊を目撃した
というのはAさんという女子社員だった。
ある日Aさんは校舎二階の倉庫に用事があって一人で校舎二階の
長い廊下を歩いていた。
倉庫といってもそれは各教室の事であって黒板には当時の中学生が
書いた落書きがそのまま残り、壁にはまだ時間割りが貼られていて
既に片付けられていた机と椅子が無い以外にはよくある中学校の
教室そのままの姿だった。

Aさんが二階の長い廊下を歩いていると向こうのほうに
一人の男性が歩いて行く姿を見かけた。
その男性は後ろ姿しか見えなかったのだがAさんの証言によると
水色というか青い作業服を着て黙って廊下を歩いて行く。
Aさんはそれを同僚のBさんだと思い声を掛けたのだがその男性は
それを無視して廊下を歩いて行くといきなり曲がって
倉庫となっている教室に入った。

AさんはBさんにちょっと聞きたい事があったのでその男性の
後を追い、その教室に入ってみたのだがそこには誰もいなかった。
この廃校舎は中学校だったという性格上、卒業生がたまに訪れる事が
あって、それは事前に事務所の了解を得てから入る人の他に勝手に
入り込んでくるという人もいたから、校舎内で見かけた不審者を
男性社員が追いかけたら途中で消えてしまったという事もあったらしい。

このFAX機の一件があってから念の為にお払いをするか?という
意見も確かにあったのだが、少なくとも事故を起こしたりするような
悪い霊ではないみたいだからそのままにしておこうという意見が
多数を占めて結局お払いがされるという事はなかった。
 
 Del

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