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【No.39 Res.0】 廃校舎〜足音〜 1 Kさんが移動してきた頃には既に小さな事務所は手狭で、それにKさんは 技術職だったので大量の図面や書類を保管する必要もあったから、結局 Kさんのデスクというか居場所は旧保健室に決まった。
旧保健室といってもその部屋は元々保健室だったものを二分割して 2/3を女子更衣室に改装したものの残りだったから非常に狭く 壁に備えつけてある視力検査の器具でやっと保健室だったと分かる程度の 小さな部屋だった。
Kさんが移動してきてからの最初の仕事は書類関係の整備だった。 その為にKさんは毎晩10時か11時くらいまで残業していたのだが、 ある日体育館の隣にあるトイレに行こうとすると真っ暗な体育館の中から 何か音が聞こえてきた。 それは体重の軽い人間というかはっきり言って子供、しかもそれが裸足で 走っているようなピタピタという音だった。 Kさんはそれからすぐに旧保健室に戻り荷物をまとめて逃げるように 退社した。 それからもKさんは毎晩残業を続けたのだが、夜になったら体育館や その入り口の辺りを絶対見ないようにして仕事をした。
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