怪談集




 
  【No.43 Res.2】

山の怪


1 Name
 
鈴木♂の父親の実家は新潟県下越地方の山奥にありまして
中学生の頃までは鈴木♂もお盆とお正月にその家に泊まりに行きました。
お正月に行くと農業兼猟師の伯父が捕らえてきた獲物のカモだとか
ウサギだとかを食べさせてくれたのですが、鈴木♂の母親は何故かお正月に
その家に行く事は絶対にありませんでした。
いつの頃だったか忘れましたがそれは何故なのかと母親にその訳を
聞いてみるとこんなお話をしてくれました。

それは鈴木♂がまだ母親の背中におんぶされるような幼児だった頃の事ですから
昭和30年代後半のあるお正月の事だったそうです。
その日は鈴木♂の母親が仕事で遅れるから先に実家に行けという父親からの
指示を聞いて、鈴木♂を背中におんぶして二人でバスに乗って山奥にある
父親の実家に向かったのだそうです。
 
 Del

2 Name
 
しかしその家は山奥にあるので近くにあるバス停には一日に二回くらいしか
バスが来ず、その家から1kmくらい離れた県道にあるバス停で母親とその背中に
背負われた鈴木♂はバスを降りました。
そのバスを降りた頃には冬の日もとっくに暮れていて吹雪の中を街灯も殆ど無い
道を実家に向かって二人は歩き出したのだそうです。

その道は大半が平地だったのですが民家も殆ど無い所であって、しかも途中で
山奥に通じる細い道の分岐点が一、二ヵ所ありました。
母親はその分岐点で道に迷い、どっちに行こうかと悩んでいると向こうの
ほうで女の人が歩いて行くのが見えたそうです。

ああ、あっちに行けば集落があるのかと母親はその女性が歩いていった道に
入り、そのあとを付いていったのだそうです。
しかしずっと歩いていくとその道はどんどん山奥に入って行って集落どころか
人跡すら無くなって行きました。
 
 Del

3 Name
 
そこでやっと母親は前を歩いているのは生きている人間じゃないという事に
気付き、必死になってもと来た道を引き返して何とか実家にたどり着く事が
できたのだそうです。

冷静に考えれば街灯も無い真っ暗な吹雪の中を女の人が歩いて行くという姿が
見えるはずも無いのですが、それが何故か見えてしまうというのが
不思議な処ですね。

それ以来母親はお正月に父親の実家に行く事を止めたのだそうですが
もしそのままその不思議な女に付いて行ったとしたら、その背中に背負われて
いた鈴木♂はここでこんな駄文を書いていなかったのかもしれません。

山で道に迷うと不思議な人影を見つけて、それについて行くと遭難しかける
という事はよくある話でこういった例もあるみたいです。

 雪山&氷の部屋 白根山の不思議な話

  http://blogs.yahoo.co.jp/harunasenin/56059290.html
 
 Del

Password (投稿パス)
Name
Comment
Password (削除パス)
 
 

10786Hit.