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【No.44 Res.2】 自転車の少女 1 これは鈴木♂が大学生の頃ですから'70年代末か'80年代の初めに 中学高校時代の友人から聞いたお話です。 その当時彼には付き合っていた彼女がいてその彼女の友人を仮にA子さんとすると そのA子さんが京都旅行をした際に体験したお話なのだそうです。
A子さんは京都を旅行していましたが用事が出来て公衆電話から電話しなければ ならなくなりました。 その当時は携帯電話なんてものはまだ無くて外出先から電話をしようとすると 公衆電話を使うというのが当たり前の時代でした。
A子さんはある神社の前にある電話ボックスに入って電話をしようとしたのですが その頃には日も暮れ掛かっていて夕闇が迫りつつあるという俗にいう逢魔が時 という時間帯だったそうです。
そしてA子さんは電話をしながらふとその電話ボックスから見える神社の境内を 見ていました。 するとその境内を幼稚園児くらいの女の子が補助輪の付いた子供用自転車に 乗って走っているのが見えたそうです。 「こんなに薄暗くなってもまだ遊んでいる子がいるんだなあ」とA子さんは そのとき思ったそうなのですが、しばらくその女の子を見ているとA子さんは ふとある事に気が付きました。
2 A子さんが気付いたのはその女の子が自転車のペダルを漕がずに足をペダルの 上に乗せているだけだという事にも関わらず、自転車は勝手に神社の境内を 走り回っているという事でした。
鈴木♂の友人の話ではその自転車は神社の境内をグルグルと周っていた そうなのですが、それに驚いたA子さんはその自転車と女の子を更によく 見てみると女の子は満面の笑みを浮かべ楽しそうに笑いながら自転車に乗っていて その自転車自体は地面から20〜30cmくらい上を浮きながら走っていたそうです。
A子さんはそれに気付いてからすぐに電話ボックスから逃げ出したので結局は その女の子の正体が何なのか分からないまま旅行を終えて東京に帰ってきた のだそうです。
その頃の鈴木♂は確かに怪談噺も好きだったのですが、まだ若かったので 車とかバイクとかそれよりもずっと好きな事がいっぱいありましたから このお話をそれほど深くは探求しませんでしたが、もし今みたいなネット全盛の 時代だったとしたら本人のアドレスを何とか聞き出して聞き取りのメールでも 送ったりしたのかもしれませんね。
3 ちなみにこの神社の名前は友人との会話の中でも出て来なかったと思うのですが 八坂神社のような有名な神社ではなく、ごく普通の?どこにでもあるような 神社だったみたいです。
このサイトで御紹介する怪談噺は鈴木♂本人が体験したお話かそれともそれを 体験した本人から鈴木♂が聞いたというお話だけを基本的に御紹介している のですが、今回のような鈴木♂が昔聞いた友人の彼女の友人というちょっと あやふやなお話も何故か急に思い出したので記録代わりに書いてみました。
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