怪談集




 
  【No.45 Res.1】

お盆の怪


1 Name
 
8月15日の夕方に鈴木♂は職場に来ておりました。
特に仕事とか用事があるという訳ではないのですが広い駐車場で車を洗ったり
広い手洗い場で職場で使う作業服や運動靴を洗ったりする事ができるので
暇潰しとそんな雑用を兼ねての二、三時間の自主的な出社でした。

あの日は曇り空で蒸し暑く、鈴木♂は誰もいない工場の中の通路を通って
トイレで用足しをしてその帰りに自販機で冷たいお茶を買うという事で
お盆休みで無人の工場の中を歩いておりました。

行きは何事も無く無事にトイレと自販機に行けたのですが、全く同じ道順を
通って帰ろうとすると通路の真ん中に鉄パイプで作られた高さ1.5mくらいの
看板というか説明用の標識がいきなり立っておりました。

今の時代はISO規格のおかげで工場の中にもそんな説明用の立て看板があちこちに
立っているのですが、ほんの数分前にこの通路を通ったときにはそんな物は無く
仮りに見過ごしたとしても通路を塞ぐように立っている看板なら嫌でも分かる
はずです。
 
 Del

2 Name
 
そのとき鈴木♂は「ああまたか」と思いました。
今までもこういったイタズラを数年に一回くらいはされていたので
別に怖いとも思いませんでしたが、こういった事を私にするというのは
相手が子供なのかそれとも私に危害を加える気は無いという事なのかも
しれませんね。

その相手が幽霊なのか妖怪なのかそれともキツネなのかはその姿が見えない
鈴木♂にとっては分かりませんが、そういった目に見えないものが
この世には居るというのが今までに何度もイタズラされたり、そういった
不思議な体験をした何人もの人たちからお話を聞いてきた鈴木♂はそう思います。

ちなみに鈴木♂は幸いにして自分に危害を加えようという悪霊?に今まで
逢った事がありません。
そういった厄介なものが居そうな場所とか人には極力近寄らないようにする
というのが一番じゃないのかなと思います。
 
 Del

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