1 鈴木♂

不思議な夢

鈴木♂は昨年の真夏の蒸し暑い夜にちょっとだけ不思議な夢を見ました。
その日は接近した台風の影響もあるせいか一日中猛暑が続き、夜になってからも
なかなか気温が下がらず、仕事から帰ってきた鈴木♂はお酒を呑んでそのまま
寝てしまいました。

暑さで熟睡できず真夜中に目が覚めた鈴木♂はそれからしばらくはウトウトと
していましたが、やがて夜明けも近づき気温も下がってきて、もう一度眠りに
就く事ができました。
そしてその浅い眠りの中でちょっと不思議な夢を見たのですが、それは
鈴木♂が小学校高学年の頃に父方の遠縁の娘さんが地元の高校に通う為に
三年間、鈴木♂の家に下宿をしていたのですが、その彼女(M子さん)の夢を
見たのです。
M子さんはそれから埼玉の大学に進学し、卒業後は地元に帰らず埼玉の養護学校
の教員となったのですが、そんな彼女の夢を鈴木♂は蒸し暑い夏の夜に見ました。
2 鈴木♂
夢の中で私は彼女の部屋の中にいました。
彼女が高校生の頃とは違い部屋の中には冷蔵庫やベッドなどの家財道具が所狭し
と置かれ、私は彼女が地元に帰ってきたのかと少しだけ嬉しくなりました。
彼女は高校生の頃とは違い二十代後半といった感じでスリムなジーンズを履き
「高校の頃よりも痩せましたね」と私はそんな彼女に話しかけました。
ちなみに夢の中では彼女は二十代、私は現在の四十代の乙さんです。
それからしばらく夢の中で彼女と会話をしたのですがそれはこんな感じでした。

彼女「○○さん(私の名字)も色々と気を使う事があって大変ですね」
私 「どうもありがとう、(M子さんは)どうしてここに?」
彼女「新しいアパートの水が引くまでここにいるんです」
私 「?(新築アパートの湿気とか塗装が乾くという意味なのか?)」

私 「新しいアパートはどこなんですか?」
彼女「群馬県の「せきぐち」です」

そこで何故か私は彼女にキスをしました。
けして上手いキスではなく「ブチュ」といった生々しい感じのキスでした。
それから何故か二人で畳の上に寝転がりました。
私が仰向けで彼女が上になるという感じで。
そのまま、私も彼女も何もせずそこで夢は終わりました。
3 鈴木♂
夢から覚めて私は現実に戻りました。
彼女は埼玉で教員になりましたが、私が大学生の頃の今から二十数年前に
彼女は30才になるかならないかという若さで地元に帰る事無く癌で亡くなって
いるのです。

鈴木♂は今までの人生の中で彼女の夢を見た事がありませんでした。
それがなんでいきなり彼女の夢を見たのか全く分かりませんが、お盆という
時期は確かに誰かが帰ってくるという時期なのかもしれません。
ちなみに検索してみると群馬県には「せきぐち」という地名は無いみたいです。