1 鈴木♂
「落ち」のある怪談
「自転車の少年」に続いて今度は落ち?のある怪談噺を致します。
数年前の秋に私が知人から聞いたお話なのですが、彼は自分の子供が通う小学校
のPTA役員をしていて、その年の夏に関川村で行われた児童のキャンプに
世話役として参加した時のお話です。
そのキャンプでは夜にアトラクションとして肝試しが企画されておりました。
肝試しといっても参加するのは小学生ですから安全性を考えて怖そうな雰囲気
のある場所に児童と父兄が行って、その辺りを散策するだけという他愛もない
ものでした。
夕食も終わり、日も暮れかかった頃に参加者全員は荒川の川辺に移動しました。
そこで夕涼みなのか肝試しなのかよく分からない肝試しをしていたのですが
そこで一人の女の子がふと「鉄橋の上に男の人が二人立っているのが見える」
と言い出したのだそうです。
彼はその言葉を聞いて鉄橋を見たのですが、幾ら見てもそんな人影を見つける
事はできませんでした。
そのうち、この発言が参加者全員に広まり全員でその鉄橋を見て人影が見える
かどうか確認したそうですが、結局その人影が見えたのは最初に言い出した
女の子ともう一人の女子児童だけだったそうです。
数年前の秋に私が知人から聞いたお話なのですが、彼は自分の子供が通う小学校
のPTA役員をしていて、その年の夏に関川村で行われた児童のキャンプに
世話役として参加した時のお話です。
そのキャンプでは夜にアトラクションとして肝試しが企画されておりました。
肝試しといっても参加するのは小学生ですから安全性を考えて怖そうな雰囲気
のある場所に児童と父兄が行って、その辺りを散策するだけという他愛もない
ものでした。
夕食も終わり、日も暮れかかった頃に参加者全員は荒川の川辺に移動しました。
そこで夕涼みなのか肝試しなのかよく分からない肝試しをしていたのですが
そこで一人の女の子がふと「鉄橋の上に男の人が二人立っているのが見える」
と言い出したのだそうです。
彼はその言葉を聞いて鉄橋を見たのですが、幾ら見てもそんな人影を見つける
事はできませんでした。
そのうち、この発言が参加者全員に広まり全員でその鉄橋を見て人影が見える
かどうか確認したそうですが、結局その人影が見えたのは最初に言い出した
女の子ともう一人の女子児童だけだったそうです。
2 鈴木♂
この鉄橋(橋)が荒川のどこの橋なのか忘れましたが、このキャンプが終了した
後に関係者の誰かがこの橋の事について調べてみるとこの鉄橋を建設している
最中に、確かに事故で二人の方が亡くなっていたとの事でした。
その女の子が見たのは本当に犠牲者の霊なのか、それとも夕暮れ時の錯覚なのか
鈴木♂には分かりませんが、その橋に関する予備知識の全く無い女の子が
二人の立っている男性を見たというのも不思議なお話ですね。
ちなみにこの橋のどこに男性が立っていたのか、そのときには時間が無くて
はっきりとは聞けませんでしたが、お話の内容からすると人間が立っているには
明らかに不自然な場所というニュアンスでしたから、その鉄橋の上部構造物の
上辺りではないかと鈴木♂は思います。
何故なら幾ら夕暮れ時とはいえ橋の上に人が普通に立っていても、それを見た
女の子がそれを疑問に感じて、それを皆に知らせるという事もないだろうと
思われるからです。
こんな感じでリアルな怪談噺には「落ち」が在る物と無い物があるのですが
「落ち」のある方が何となく納得してしまうというのは、人間という生き物は
「理由」という物を自分でも知らないうちに捜してしまい、それが見つかると
何となく安心してしまうという生き物だからなのかもしれませんね。
後に関係者の誰かがこの橋の事について調べてみるとこの鉄橋を建設している
最中に、確かに事故で二人の方が亡くなっていたとの事でした。
その女の子が見たのは本当に犠牲者の霊なのか、それとも夕暮れ時の錯覚なのか
鈴木♂には分かりませんが、その橋に関する予備知識の全く無い女の子が
二人の立っている男性を見たというのも不思議なお話ですね。
ちなみにこの橋のどこに男性が立っていたのか、そのときには時間が無くて
はっきりとは聞けませんでしたが、お話の内容からすると人間が立っているには
明らかに不自然な場所というニュアンスでしたから、その鉄橋の上部構造物の
上辺りではないかと鈴木♂は思います。
何故なら幾ら夕暮れ時とはいえ橋の上に人が普通に立っていても、それを見た
女の子がそれを疑問に感じて、それを皆に知らせるという事もないだろうと
思われるからです。
こんな感じでリアルな怪談噺には「落ち」が在る物と無い物があるのですが
「落ち」のある方が何となく納得してしまうというのは、人間という生き物は
「理由」という物を自分でも知らないうちに捜してしまい、それが見つかると
何となく安心してしまうという生き物だからなのかもしれませんね。