9 無名さん
プロ1年目の試練 雄星は語る(岩手日報 2010.11.20)

リハビリは今も続く。早朝練習に始まり、午前10時からの全体練習と個別に課された筋トレをこなせば午後3時を過ぎる。いつも最後まで居残りだ。さらに夏以降は東京都内に通い、治療と専門的な筋力強化メニューに取り組んでいる。

「週に5、6日。ほとんど毎日ですよ。夕食後に寮を出て、帰るのは夜中。ファンの方から『練習もせず遊びに出歩いていいのか』って球団に通報されたこともあります。」
10 無名さん
熱狂をつくり上げたメディアの一部は、活躍できないと手のひらを返したように「豪遊」「夜遊び」と面白おかしく書き立てた。まだ19歳。辛くなかったのだろうか。

「バッシングは気にしていません。もちろん最初はムカッて頭に来たけれど、結局アンチだってファンの一つ。関心があるから悪く書かれたりする。関心さえ消えた時がプロとして本当にまずい。だから『もう好きなだけ書いてくれ。おれは仙人になってやる』って思いました。でも結果が出ないと、最初は理論派、勉強熱心だって言われたのが『頭でっかちで何もできない』に変わる。活躍すれば、また理論派ですよね。求められるのは結果。今季も肩が万全なら勝つ自信はあった。『1軍で1勝』と掲げた自分との約束を守れなかったのが悔しい。」

苦境の中でなぜ、そんなに前向きでいられるのか。笑顔で言い放った「雄星節」が印象深い。

「周りから見れば『どん底』の状況ですよ。でもリハビリの中で思ったんです。ぶっちぎりのどん底だからこそ、ぶっちぎりにカッコよくありたいって。それって自分のドキュメンタリー番組みたいでしょ。後で見たら、みんな泣いちゃうじゃんって。そう思うと、毎日が楽しくなる。今は評価されなくていい・・・いつか最高の結果で理解してもらえる日がきますから。」