1

黄色いマフラー

昨夜のことだった。
私の部屋にはバルコニーがあり、それは姉と共同で使っているものだ。
昨夜自室で1人本を読んでいた時のこと。ふとバルコニーへ目を向けると、洗濯ざおに黄色のマフラーが掛かっていた。
季節は夏だ。こんな時期に何故マフラーが洗濯されているのか。外に出て、そのマフラーを確かめてみた。
見た事の無いものだった。クローバーと「まゆこ」の文字が刺繍されている。
どちらかと言えば子供用だった。私の家に子供は1人もいない。少し不審に思った。
しかしその時はそこまで気にすることもなかった。
今朝のことだ。洗濯ざおからマフラーが無くなっていた。風に飛ばされたのだろう。そう思ってベッドから下りると、足元に柔らかい感触があった。
反射的に床を見ると、そこにはあの黄色いマフラーが落ちていた。
思わずきゃっ、と声を上げた。そしてマフラーを掴み、バルコニーから外へ放ったのだ。
コンクリートの上にマフラーが落ちる音がした。
荒々しくバルコニーのドアを締め、姉の部屋へ向かう。
「あのマフラー姉ちゃんのでしょ。やめてよ、ああいうことするの。本気でびっくりした。」
姉は眉をひそめると、首を横に傾げた。
「なんのこと?」
知らないようだった。本当に怖くなってきて、もう1度確認のため自室に向かおくとした時だった。
ドアの隙間から覗く、黄色いマフラーがたなびいていた。
(iPhone6Plus iOS9.3.2/spacelan)
2 様方の大石加奈
私は、はるか昔に、私の友達の伊近専真美が、黄色いマフラーの幽霊を本当にみました。
(SC-53B/home)