1 蜜柑

ETERNAL

こんばんわ!
普通掲示板でのレスを読んで、久しぶりに投稿させて頂きました!

次世代を担う怪獣王との激闘の末、地獄へ堕ちた邪神達。

生前の因果からか次々と襲い掛かる怪獣達を退けながら、再び地上へ甦えんと終わりの見えない炎道を歩んでいく二人。

互いに認め惹かれ合う男女。
彼等を待ち受けるもの、それは―――
[裏設定とかEtc.]
今回はGENERATIONのスピンオフ的な感じで。現在だったり幼少期だったりしそうですが、お付き合いして下さると嬉しいです
87
「ところで、何でお前ら生き返ったんだ?もしかしてイリスも…」
「多分どっかでイチャコラしてるかもね。で、オレ等を生き返らせたのは……」

と、ジーダスが指差した先、そこにはまるで色合いが蜂の腹部まんまな球状が連なった数珠状の宇宙船が浮いていた。

「わー、ビーチボールみたい…」

バルゴンの言葉を尻目に、ジャイガーはすっかり立ち尽くしている。と同時にニーヴァは未だに訳が解らないといった風に、突然現れた気配を追って空を仰ぎ見ていた。

「ジーダス…空に一体何が来てるんだ?」
「オレ等の命の恩人、バイラスさんっス。そろそろ来ますぜ」

ジーダスの言葉が終わらない間に、宇宙船は音もなく地面に降り立つ。そして、そこから出てたのは銀髪のオールバックに、軍服に身を包んだ壮年の男性・バイラスだった。

「お久しぶりだね、君達。それとエリー君…トカゲでいる間、他の奴等に苛められなかったか?」
「大丈夫です、ジーダスが身を挺して守ってくれたから」
「そうか。本来なら放っておきたかったんだが、ジグラの奴が煩くてな…それに、ニーヴァが死んでいては、私の刺激がなくなるからな」
[裏設定とかEtc.]
バイラス登場。彼は基本煩いのは嫌いですが、やはり刺激のない世界は退屈だと感じ、ジグラの頼みでジーダス達を復活させました
88
「ジグラぁ?何で彼奴が…」
「何でも、ニーヴァが女を紹介したお礼がしたかったらしい。そうだろう?」

バイラスが背後の海に目配せした直後、それに応える様に忽ち大きな水しぶきが上がり、紺碧を切り裂いて鋭く尖った白い背鰭が此方に向かってくる。

「な、何アレ!ジ○ーズ?!」
「てゆーか兄貴、ウェスター島にあんなのいたんスか!?」
「し、知らん知らん!」

流石にジーダスも海に隠れていたゲストを知らなかったらしく、三人の間に戦慄が走る。
当然、元からウェスター島に住んでいるジャイガー達も同じ事で……

「バルゴン、濡れるぞ!早く中へ!」
「溶けるのヤだよー!」

ジャイガーはしっかり腕から伸びる包帯でバルゴンを捕らえた直後、その白鮫はざばっと飛び跳ね、宙返りした途端に人型となった。

「やー、騒がせたねぇ!」

その風貌は魚を模した鎧を着ており、何よりも水色の髪が特徴的で、血の様に赤い目が妙に映えている。

「そ…その声はジグラか」

ジグラという青年は問いに答えず、つかつかとニーヴァの前に歩み寄る。その顔は怒りとも失望ともとれるかの様に陰っていた。

「ニーヴァさんよぉ…アンタには世話になったぜ。オレに女の怖さを教えてくれたんだから」
[裏設定とかEtc.]
かつてイリスに振られたジグラ登場。以来、女が苦手となりましたが、何故か同性愛癖がうつりました。お相手は勿論...(ヒント/海鮮類)
89
酷く沈んだ口調で、そっとニーヴァの頬を撫でる。もしかしてこのまま打つつもりだろうか。

「や、止めろよ!兄貴に手ぇ出したらタダじゃ「待って、ジーダス。見て」

ジグラに殴りかかろうとしたジーダスを、エリーが彼の肩を掴んで引き留めた。そこには……意外な光景が映っていた。

ジグラの額から、オレンジ色の光線が出ている。それが射抜く先は、紛れもなく眼前のニーヴァだ。なのに彼は全く痛がる様子もなく、寧ろ大人しくそれに包まれている。

「な、何してんだ…?ジグラさん、何とか言ったら――」
「あ!ニーヴァ兄さんの目!」

バルゴンが声を上げた所で、改めてジーダスの意識はニーヴァに向けられた。
最初はオレンジ色特有の眩い光に遮られて見えなかったものの、目を凝らせば彼の両目から次第に光が戻ってゆくのが伺えた。

しかし、オレンジ色の光は力が弱まったのか、当初の勢いを失ってゆく。

やがて力尽きたのか、ジグラは少し呻くと、地面に膝を着いた。

「う……!」
「大丈夫か、ジグラ!?」

バイラスがすっかり疲労したジグラを支える中、エリーもまた彼の方を見る。

「ジグラさん!?」
「…あぁ、大丈夫だぜ嬢ちゃん。久々にやるんで疲れちまっただけだ。
それと…お宅の兄さんは、もう光が解るぜ。飛べるのは本人次第だけど」
[裏設定とかEtc.]
ニーヴァ、催眠術のおかげで失明が治る(何かめっさご都合主義ですみません;)案の定長くなりましたが、次でラストです
90
そのセリフの直後、エリーはニーヴァ達の方を見た。そこには、漸く本当の意味で再会できた二人が年甲斐もなく涙を流しながら抱き合っている、感動?の光景だった。

「久々だなぁ、我が舎弟よ!」
「あに…兄貴ぃい!!彼奴の言う事、っ本当だったんスね!」

かつて地獄で最期に告げられたあの言葉。あれはジーダスに対する最初で最後の優しさだったのだ。
おまけに、傍らのバルゴンは目から涙の代わりにダイヤモンドやらサファイア等をはらはらと落としている。

「良かったなぁ、爺ちゃん!」
「ふん、早速お熱い奴等じゃな」

一方で、ジーダスの彼奴という言葉を思い出して、エリーはちらっと海面を見た。


―――ゼオン様…今何処にいるのかな。

自分を育ててくれた父親にも等しい憧れの彼。しかし、皮肉にも彼は自分を捨てて、イリスの方を選んだ。
今更彼の元へ行ってどうするのだろう。考えても、自らに対するメリットは思いつかない。寧ろ嬲り殺されるのがオチだ。

―――良いか、このままで。

此処には気難しい爺さんと、宝石を出す不思議なトカゲの子はいるけれど、ゼオンの元にいる頃と比べたらずっとマシだ。それに、自分にはかけがえのない愛する同族がいるのだから。

「さて爺さん、早速夕飯頼むぜ!」
「バカ者!その位自分達で調達せんか!老体に無茶させる気かね!?」
「そこはお願いしますよ〜、家族が増えた記念にさぁ」

ニーヴァ達がジャイガーに集る最中、ジグラは依然としてバイラスに支えられながら宇宙船に乗り込んでゆく。
91
「良いのか?出来れば島に残っても良いんだぞ?」
「いいや、オレは宇宙に戻るよ。それに―――」

彼奴のお見合いのお陰で、アンタに出会えたんだから。


静かに呟くと、ジグラはそのまま眠ってしまった。そんな彼に苦笑しながらバイラスは一旦ジグラを壁に預けると、宇宙船のハッチを閉めてゆく。

「それではさらばだ、諸君。幸せにな」

バイラスの別れの言葉と共に、宇宙船は宙に浮いてゆく。それに気づいた一同は、虚空を仰いでお礼の言葉を投げかけた。

「ありがとー!」
「感謝してるぜ、イカさーん!」
「ガメラにリベンジ決める時にゃ、また地球に来いよなぁ!」

一頻り言った後、宙に浮くそれはやがて遠ざかってゆき、豆粒並みの大きさになって消え失せた。
何もかもは終わった。しかし…そんな中でも約一匹だけ、イヤに不機嫌な表情を浮かべていた。

「そういう訳じゃ。さ、目も見えた事だし、食費の増えぬ内に姫神島へ帰れ」
「えー!?俺まだ飛べないんだぜ!せめてもう少し、もう少しだけウェスター島にいさせろよ〜」

いきなりの断絶宣言に、ニーヴァは大きなショックを受けた。が、彼に加勢するかの様にジーダス達が続く。

「ジャイガーさん、後生です!オレ等もうペコペコなんスよ〜」
「アタイも〜!あ、お爺ちゃん、肩コってます?早速アタイがマッサージしますよ♪」

「お色気使ってもダメだよ。泳げるなら自分達で採ってきて」
「んっだと、永久金槌トカゲ!」


改めて人数の増えたウェスター島は、今日も平穏だった……。


完.
[裏設定とかEtc.]
こじつけっぽい+gdgdのはさておき、漸く終了です。長い間、本当にご苦労様でした!次回でも宜しくです。学園パロ辺りがやってみたいなぁ…とか言ってみたり(無理でしたら誠に申し訳ありません;;)