1 バルタン星人

G×UM地球防衛大戦

ますます苛烈さをます戦争

バルタン星人の総攻撃の矛先が世界で唯一の怪獣達の楽園、怪獣島に向けられる。

果たして、ゴジラ達はこの危機を乗り越えることが出来るのか?
[裏設定とかEtc.]
大変遅れましたが、再びよろしくお願いします
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「フン……」

魏怒羅は鼻で笑った直後、頭部の触覚から雷をまとったプリズム光線を四方八方に放った。すると、虚空に“何か”が止まった。

そこには、セイランが体を痺れさせていた。しかも、相当なダメージの様だ。

「く…ッ!な、何故……」
「見え見えだ。そもそも、お前には気の迷いが出ている。」

今の現状を見抜かれ、再びセイランの心中に怒りの感情が生まれる。

「ま…まだ終わらない!!」
と、再び目にも止まらぬスピードで肉体が割れたかと思うと、そこから新たな体が出てきた。


しかし、全体の3/4が出たところでそれは阻められた。突然背中に異物を感じた。

「っえ…?」

後ろを向くと、そこには殻と体の隙間にギターが挟まっていた。勿論弦はとっくのとうに壊れていて使い物にならない。

「き…貴様……!」
「焦りすぎだ。」

その言葉がセイランの聞いた最後の言葉だった。途端に聴覚に凄まじい雷音が鳴り響き、身体に形容しがたい熱が走った。

魏怒羅が先程より稲妻を至近距離で撃ったからだ。
忽ち成す術もなく、セイランは真っ逆様に落ちていった。

そして、魏怒羅もバトラの体から離れ、彼を抱きかかえる。

「さて……次はどうするか……」

今頃最珠羅はラーバを守る為にその場を去っているだろう。そして、魏怒羅は静かな寝息を立てているバトラを一瞥すると、そっと地面に置いた。

───この若造には悪い事をしたな……

ギターはともかく、目の前で姉を失い、放心状態の所へ取り憑いたのだから何だかやるせない気持ちになる。しかし、仇は取った。
[裏設定とかEtc.]
セイラン撃破。
88 バルタン星人
所変わって、とある洞窟。

ここに、ミニラ、タイニー、クモンガが避難し、グドンとツインテールが守りについていた。

「これからどうなるのかなあ・・・」

と、弱気そうに言ったのはミニラ

「バルタン星人達強そうだし、お父さん達どうなってるのかなあ。」

「まああいつらのことだからきっと無事だよ。」

「そりゃそうだ、何せこっちには怪獣王もついてるしな。」

と、少し傷を負っているクモンガと守りについているグドンが励ます。

「言われてみたら・・そうだね」

実際のところ、避難している面々は内心不安であった。
何せ相手は強力な宇宙怪獣を引き連れ、しかも巨大生物対策部隊のエース三人はおろか、四大戦艦、果ては地球怪獣の殆どを倒してしまった実力者である。
気丈そうなことを言ったクモンガとグドンも、内心穏やかではなかった。

再び、洞窟内に気まずい空気が立ちこめる。

静寂の中、唐突にタイニーが口を開いた

「ねえ、ミニラ。僕が最初に君と会った時のこと、まだ覚えてるよね。」

「うん・・そうだけど。でも何で急に・・」

「あの時、君結構驚いてたね。それに、その後の怪獣島めぐりも楽しかったなぁ。」

笑顔を浮かべようとしているものの、いつの間にか涙が流れていた。

「タイニー、君泣いてるよ。どうかしたの?」

「そうや、どうかしたんか?」

涙を拭き取ってタイニーが答えた

「僕・・これから行かなきゃならない所があるんだ。もう二度と、会えなくなると思うけど・・・」

「一体どこに行くんだい?やけに深刻そうじゃないか」


クモンガに問いかけられても、俯いて黙っている。

「隠し事はいかんで、どこ行くつもりなんや?」

「そうだよ、でないとこっちが不安になっちゃうよ」

ツインテールとミニラに問いかけられ、ようやく重い口を開いた。

「ジンライを、止めに行ってくる。」
[裏設定とかEtc.]
タイニー、決死の覚悟です。
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「え…」

最初は聞き間違えたかと思った。しかし、

「じょ…冗談やろ?むざむざ死ににいく様なもんやで?」

「いや、これは僕らバルタン一族の問題なんだ。だから行かなきゃ……」

「無茶苦茶だ!だったらオレとツインテールで「いや、アタシが行くよ!仲間達殺した彼奴にガツンと説教しなくちゃ!」

三人がせめぎ合う中、タイニーは静かに首を横に振った。

「気持ちは有難いんだけど…これ以上誰も死なせたくないんだ。」

「けど、独りじゃ危ないよ!それに…周りには敵も沢山いるし……」

確かに怪獣島にいる者達は、バルタン兵と比べてその数は少ない。そんな中を彼女は一人で、しかも首謀者の元へ向かおうと言うのだ。

「無茶だよ!アンタ、自殺する気かい?!」
「大丈夫。そこは運を天に任せるよ。」

その言葉に不意に4人は押し黙った。そして、タイニーは予め洞窟内に隠してあった巻き貝型の宇宙船を呼び出すと、半ば震えている足取りで乗り込んだ。

「タイニーはん…」
「そんな…イヤだよ。君まで失うなんて……」

「ミニラ…本当に今まで有難う。それにみんな、何がなんでも生き延びてね。」

最早皆からは何も言葉が出てこない。代わりに天井の鍾乳石から滴る雫が涙の様にも見えた。


一方、島のとある崖地。そこでは吹き荒ぶ風と共に、幼い少女の泣き声が聞こえてくる。

「離してよー!助けて、お母さーん!」

その泣き声の主はラーバだった。というのも数分前、身内やミニラとはぐれてさ迷っていた所を捕獲されたからだ。
そして、そんな彼女を掴んでいる者こそ……この大事件を引き起こした首謀者・ジンライだった。
[裏設定とかEtc.]
ラーバに最大のピンチが……
90 バルタン星人
「心配するな、貴様の親にはもうすぐ会える。」

「えっ、本当?どこにいるの?」

「あの世さ。」

そうラーバに言い放つと、容赦なく崖下に放り投げた。

「きゃあああああ」

悲鳴を上げながら、ラーバは崖下へと落下していった。

が、

「バルルン!」

どこからか声がしたかと思うと、タイニーがふわりと浮き上がり、ジンライから離れたところに静かに着地した。
[裏設定とかEtc.]
タイニー登場です
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「タイニーか……」

「ジンライ!もうこんな事は止めて!これじゃ何の解決にもならないよ!」

止めて。一体他人から何度言われた事だろう。最早反対意見には慣れっこだった。

「今更説教を垂れるのか。誰の説得を聞いても、決意は変わらぬ。」
「けど…向こうが殺されれば此方の民だってその仕返しに殺される!結局堂々巡りでしょ!?」

その一言に、ジンライが少しびくりと反応した。


一方崖下では、ラーバが偶々崖下を通りがかったゴジラに発見された。

「オイ、大丈夫か!」

「おじさん……タイニーが…」

泣きベソをかきながらラーバは必死に先程の出来事を話した。まず、地面に激突する寸前にタイニーに助けられ、軽く宥められた後頂上へ上がっていった。
ただ、それまでの間何故か声が震えていたという。

そして、彼女は現在あの崖の上でジンライを説得している。

「解った。…ラーバ、君はそのまま真っ直ぐ森を抜けろ。その先には、ミニラ達のいる洞窟があるはずだ。なるべく敵に見つかるなよ?」
「…うん!」

漸く泣き止んだラーバを見送った後、ゴジラも尻尾を抱えて丸くなったかと思うと、そのまま放射能火炎を放って浮遊していった。

───頼む…間に合ってくれ!

彼らのいる頂上まで、後20mを切ろうとしていた……。
[裏設定とかEtc.]
舞台は最終決戦へ……その結末は次スレへお願いします。