1 はるぽん

前の続きです。

「気に食わんな…そのツラ…」
龍鬼は息子の表情を見て忌わしげに呟いた。

「その顔を絶望に塗り替えてやろう」

そう言った瞬間、腕を素早くかざし医療器具を停止させようとしたが、

ドチャ、

という音と共に片腕が床に落ちた。

「ぐっ…!?」

「サイ!」

サイが素早く龍鬼の腕を切り落としたのだ。

「小僧…!貴様っ…」


「サイ…お前…?」

「…誰かを守りたいなど僕には余り理解できませんが…」
キングに僅かに顔を向けサイは話した。
「貴方には世話になりましたので、貴方の武器として働きます。どうか僕に命令を」
[裏設定とかEtc.]
非常に遅くなってすみません;;新しくなっていたのでこちらに書きました。
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「治りそうか?」
「全然……どうしてこんな時に…!」

悪戦苦闘するメガロ(何とか上着を貸してもらい、暴行の跡は隠せた)。周りは目を背けたくなる地獄絵図、納屋には治療道具の類なんてなく、治る見込みが見当たらない。

そこへ、

「皆さん、何があって───」
「「マギシさん!」」

よもや出番を忘れ去られそうになったマギシが姿を現した。
先程彼はサイとデスギドラを治療していた所、外から聞こえてきた絶叫を聞きつけ、偶々やってきた。

「これは一体何の騒ぎですか?!」
「それは……とにかくこの人を看てください!」

と、ガイガンは帝に目をやる。それを見てマギシは息を呑んだ。

「帝さん…何でこんな事に……」
「早く治して下さい!僕らの力ではどうにも───!」

悲痛な願いを聞き、マギシは医療箱片手に帝の治療を始める。
その傍ら、黒い死神はギドラ達と牙を交えていた。
[裏設定とかEtc.]
果たして帝は死の淵から生還できるのか───
50 はるぽん
「ガキが……私の指を……!よくも……!」

ヘルの手から血がボトボトと垂れている。
殴られた顔には痣もできており、ヘルは激しく息を吐いていた。

「兄上…兄上……」

しかし、王はそんな様子も見えていないように、ブツブツと呟いているだけだった。

「無視か…ワイフ、このガキ、そーとー俺らのことなめてるぜ?」

「そうですねぇ……八つ裂きにして二度とお兄さんの名前を呟けないようにしましょうか……」

黒と白の悪魔が邪悪な笑みを浮かべる。

1対1なら不利かもしれないが、2人でかかればどうということもないだろう。
[裏設定とかEtc.]
最近スランプです。遅くてごめんなさい;;
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すると、

「動くな!」

かちり、とデスフォデスの頭部に何かが押し付けられた。そこには、メカギドラ化したギドラが銃をデスフォデスに突きつけている。

「チッ、またアンタか。さっき眠らせた筈なのにな。」
「黙れ…次はその頭を……」


とはいっても、彼は満身創痍で何時倒れるか解らない。
けれど、放っておいても倒れそうなので、とりあえず足払いをして倒しておく。

「さぁて…次はあのクソガキといきますか。」

デスフォデスは獣の目で王を見つめたのだった。そして、

「シャアァッ!!」

ヘルの咆吼が響いた後、再び脳天目掛けて爪が振り下ろされる。
それも肉眼では見えない早さ、少し王の服を切り裂いたかと思うと、血しぶきが辺りに飛び散った。

「くっ…う……!」

「外したか。けど、まだ終わりませんよ?」

直後、黒い火球が王目掛けて降り注いだ…つもりだった。

それらは地面から撃たれた赤い閃光によって遮られた。

「なっ───?!」

忌々しそうに震源地を見るとそこには……他でもない、愛しの相手が立っていた。

「待て、デスフォデス!狙いはこのオレのはず!」
[裏設定とかEtc.]
ガイガン、囮作戦へ。果たして戦況は?
52 はるぽん
「おやおや、ハニー。そう慌てなくても後でたっぷり可愛がってやるぜぇ」

愛しのハニーを見て、デスフォデスは心底嬉しそうに言い放った。

「新築にはハニー専用の部屋も作る予定だ。遊びに来てくれよ?」

「お断りだ!」

ガイガンは素早く斬りかかり、両者の間で新たな戦いが始まった。


その頃、王はヘルと対峙していた。

「あーあ、おっぱじめてますよ。貴方相手に一人で挑むのは骨が折れそうです」

「……うるさい、喋るな。兄上を……よくも……」

「やれやれ。……喋れなくなるのは貴方だけですよ」

爪がサーベルのようになり、一気に切りつける。

それを王は紙一重でかわすと、ヘルに殴りかかった。

ヘルもかわすが、自分の攻撃を避けられたことに苛々していた。

今度は突きを繰り出す。が、それも避けられると思っていた。

が、突きは王の肩に深々と突き刺さった。

「何?」

奇妙に思い、王の後ろを見ると、怪我をしている帝と彼を運ぼうとしているメガロとマギシが目に入った。

「……なるほど、庇ったわけですか。とことんお兄さん思いですねぇ」
[裏設定とかEtc.]
王の弱点、発覚。
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図星を突かれ、王は一瞬黙るも、それは遅かった。
目にも止まらぬ早さでヘルは相手の肩から手を引き抜く。

「っぐあ!」

痛みに悶える王。そんな彼を後目に、ヘルはその三人の前に立ちはだかった。

「「あ?!」」
「さぁ可愛い兎さん。命が惜しくば、とっととその役立たずを渡しなさい。」

役立たず……他でもない帝の事だ。因みに王は久々に傷つけられ、よほど痛みが応えたのか、此方に向かうのが精一杯だ。

「だ、誰が渡すもんか!」
「…あんまり逆らうと、コレですよ。」

と、今度は相手目掛けて白い炎を吐いた。勿論食らえば、黒こげ以前に骨は残らないだろう。

「…マギシさん、此処は僕に任せて。」
「え!?でもしかし…「早く!」

毅然とした声で急かされ、マギシはその場を後にした。
残ったのは、メガロと何とか追い付いた王の二人。

「あの帝の処理は後回しだ……すぐさま地獄に送ってあげますよ。」

その言葉にメガロはドリルを構え、一方の王も怪我なんて何のその、先程の様に拳を構え始めた。
[裏設定とかEtc.]
メガロ、参戦!余談に某日、本家ギドラフィギュアが出来ました