1 蜜柑

GENERATION-FINAL-

こんばんわ!夏の暑さも激しくなってきましたが、久々に投下させて頂きます!


人喰い鳥の脅威は去り、地球は平穏になった

しかし、それはホンの一瞬の安らぎでしかなかった―――

古代の龍王が甦る時、再びソウル達の闘いが幕を開ける―――!
[裏設定とかEtc.]
平成モスラ三部作を中心に、次世代編もいよいよ最終章に突入です。相変わらず返信は偏ると思いますが、お付き合い下さると幸いです。
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突然頭を抱えてうずくまるセラフィに、サララ達が彼女を宥める中、やや戸惑いを隠せないままにデスギドラは龍爛に問いかけた。

「あの龍爛様、彼奴とは知り合いなんスか?」
「少しだけな。全く、君の父親『たち』は誠に勇敢だったよ。少々…手応えには欠けたがな」

「…貴様ァ!!」

嘲笑混じりに尚も投げかける龍爛の首筋に、ダガーラの怒号が飛び、槍の一閃が龍爛を捉えた。

「「龍爛様!」」

デスギドラ達が動く前に、切っ先が主の喉元に突き立てられた。
辛うじて刺す一歩前で止まっているものの、どちらかが少しでも動けば忽ち血が流れるだろう。

「これ以上彼女を侮辱する事は許さん!さもなくば、その体を生きながら腐らせてやる!」
「…そう粋がるな。嫉妬から来る八つ当たり程、見苦しいものはないぞ?」

刺される一歩手前にも関わらず、余裕を崩さぬ態度でそう言われ、ダガーラの鬱金色の目が見開く。

「嫉妬だと?何訳の解らない事を…「伴侶にしたかったんだろう?抱きたかったんだろう?君を深い哀しみから救ってくれた女を。なのに現実は、彼女は幼なじみと結ばれて、自分は爪弾きにされて。一生ニライカナイの掃除機として惨めに生きてゆく自分が嫌なんだろう?」

次々と本心を暴く言葉が、ダガーラの思考回路に突き刺さる。その度にダガーラの槍を持つ手が震え、普段崩さない瀟洒な表情が動揺を隠せないものへと変貌してゆく。
[裏設定とかEtc.]
ダガーラはセラフィに片思いをしてました(でもサバイヴの存在を知って自ら身を引いた)それにつけこまれて、次第に催眠術の罠へと陥っています……
55 蜜柑
「だ、黙れ…っ」

動揺の現れは体の震えだけじゃない、平常心を保とうと悪態を吐く声でさえ弱々しくなってきている。
ダンにしか相談してないような己の本心を不気味なくらい言い当てるこの男を、これ以上見てはいけないと本能が警告する。
だけど、目が離せない。奴の目が、ダガーラを逃がすまいと捕らえているかの様で…

「惨めな自分に嫌気が指すならば、我慢しなければ良い。欲しいのならば奪えば良い。それでも満たされないのなら…壊せば良い。そうは思わないか…?」
「う、あ、ァアァアア!!!!」

銛を手放し、ダガーラからこれまでないくらいの絶叫が上がった。突然の崩壊に誰よりも驚いたのはダンだ、彼は直ぐ様ダガーラの元に駆け寄った。

「おいどうしたんだよダガーラ!落ち着け…っがは!?」

台詞が途中で止まり、代わりにダンの身体中に激痛が走った。ダガーラを見ると、彼の拳がダンの腹部にめり込んでいた。

「なん、で…っ、う!」

がぽり、とダンの口から血の塊が零れ落ちる。しかしダガーラは動じることもなく地面に転げ落ちている銛を拾い上げると、本来味方であるダン達にそれを向けた。

彼等を見つめるダガーラの瞳には光が一切消えていて、金色の目は感情のないくすんだ色へと変化している。
[裏設定とかEtc.]
遅れてすみません;課題がやっと落ち着いたので、久々に投稿しました
56 蜜柑
「だ、ダガーラっ…アンタっコイツに、何を…したっ!」

途切れ途切れに言葉を発しつつ、ダンは龍爛を睨み付ける。しかし当人は若い男に凄まれようが平気な様で、涼しい顔で答えた。

「別に…ただ、本当の彼の本心を解放してやっただけだ」

直後、ダガーラは無表情のまま銛を振り回した。辛うじて躱したものの、相手は感情のないまま切っ先のラッシュを繰り出してくる。

その中でダンはひたすら説得を試みるが、龍爛の操り人形と化したダガーラには彼の声は届かない。

「ダンさん…!」

下手すれば殴り合いになりかねないこの状況に、サララは自然と声を上げる。しかし、パニックを起こしているセラフィを放っておけるわけもなく、二人の元に駆け寄ることが出来ない。
そんな時、いつの間に移動したのか、ウララがダガーラとダンの間に立ち塞がった。

「ウララさん/姉様!」

ダンとサララ、二人の声を余所に、ウララはダガーラの頭部を隠し持っていたハリセンで容赦なくぶっ叩いた。ぐぁっ…と小さく悲鳴を上げ、ダガーラは前のめりに倒れていく。完全に体が地に付く前に、ダンが彼のことを支えた。

「ご免なさいね、こうするしかなかったの。この術は…私には解けないから」

冷静に告げると、今度はギドラ側に目を向ける。睨みを効かせてくるデスギドラ達に用はない、話があるのは龍爛のみ。

「貴方…似てるわね。昔のギドちゃんの闘い方に」

「奥サマ…!」
「貴様達は、緑の小娘共を始末しろ。些か興味があるな…あの龍神を下したという女の実力に」
[裏設定とかEtc.]
龍爛、かつてのライバルの妻に興味を持った様です。余談ですが、ウララと龍神はまんま原作寄りの激闘の後、ゴールインしました。
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初めて見せる首謀者の笑み。それを拝む前に、デスギドラ達はフ、と笑んだ。
今ならあちらの警備は手薄、守護神獣側を奪うのは簡単ではないか。

「それじゃ、お言葉に甘えて…」
「参りますか!」

二匹の死神達は嬉々とした声を上げながら、未だに恐慌状態の彼女達に向かっていった。

一方、龍爛とウララは部外者がいなくなったことで漸く静けさを取り戻しつつある闇夜の中で互いをにらみ合っていた。

「前置きが長くなってしまったが、龍神の伴侶よ…随分威勢が良いな。後で後悔はしないだろうな?」
「しないから貴方と対峙してるんでしょ。それに、私を甘くみないことね」

運が悪ければ本当に砂塵に返すわよと付け足されるも、依然として龍爛は怯んだ様子を見せない。それどころか、ギドラ族特有である両肩から龍を出現させ、爬虫類さながらの眼差しを向けている。

「良かろう…こちらも全力でお相手しよう!!」

言葉が終わらない内に龍達は咆哮し、彼の両翼からは刃の形を象った雷が数発か繰り出された。
またたく間にそれらは砂浜を切り裂き、抉り、断面を裏返しながらウララの元へと迫ってゆく。

「……ハッ!!」

切っ先が足元を捉える前に、ウララが跳躍した。満月をバックに華麗に舞いつつ、彼女は手にした羽衣から虹色の波動を繰り出し、凶刃を次々に打ち消してゆく。
[裏設定とかEtc.]
風邪引いたり色々あって遅れました;再開参ります(ペコリ)
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全てが塵へと還った頃、色とりどりの粉が辺りに散布した。
それらはこの修羅場を除けば非常に幻想的と呼べるものだったが、二人の当事者には見とれている時間などない。コンマ一秒でも気を抜けば殺されるのだ。

「随分と、私の庭をズタボロにしてくれたわね…」
「悪いな。だがこれが、此方なりの挨拶なのでな」

毅然として悪態をつくものの、ウララの心中は疑問の渦中にあった。
かつて彼の同族を沈めた相手と牙を交えているとはいえ、何処からこの余裕は来るのであろうか。それに先程の攻撃といい、まるで本気を出しているようにはとても思えないのだ。

けれどもし、逆に彼の最大限の力を引き出してしまったら……自分はこの悪魔に勝てるのだろうか。

――――こんな時にゴジラ君達は何してるのよ…!


その頃、ソウル達は騒ぎを聞きつけ、交戦状態にある砂浜に向かおうとした矢先、突如身動きが取れなくなり、おまけに何処から湧いたのか、無数のヤゴ達に取り囲まれていた。

「これで良いの、ネーラ?」
「おぅバッチリだぜ。アンタの影縫いは本当役立つなー」
[裏設定とかEtc.]
龍爛の必殺技/撃つのに時間はかかるけど、島をまっ二つにする波動と毎度お馴染み引力光線(もといトリプルサンダー)です。そしてゴジラ達に妨害が...