伊達政宗
随分時間が経った。

なあbrother,元気にしてんのか。別に保管してた訳じゃあねえんだがcapacity overだ、つうんで腹一杯思い出をかっ喰らって膨らんだ文箱を整理しようとしたら…haha,お前の最後の言葉が出て来やがった。こいつあ、笑えてものも言えねえだろ。
そう、もう随分時間が経って、お前の事も風化してやがる。どうしても俺の物にしたかったお前が俺のもんになって、結果俺の指からすり抜けやがってから随分と、だ。

もうお前は此処を見るこた万が一にも有り得ねえだろうし、俺もきっと此処に戻る事あねえ。それでもこうして足を運んだ事には多少何かの縁があったんだとは思わねえか。
…なあ、小十郎。催涙雨だ。雨で出来ちまった川を泳ぎきって、荒れちまった道を切り拓くのはてめえの役目だったな。そんなお前をGood boy,つって褒めて甘やかしてやるのは俺の役目だった。今はもう言葉も、お前の記憶にすら俺は存在しねえんだろうが…俺はあの時、誰よりお前を愛していたと、今も言える。
My silly billy,竜がお前に注いだ毒が、今もお前の生活を侵していりゃあいい。
雑賀孫市
文が届いていない訳ではなさそうだな。だが、返事が無いと言うことはお前の意思で出していないか、どこかですれ違っていたか。何にしろお前が息災であればまた何時かにでも会えるだろう。その時はまた手を取り合い花火をしようじゃないか。それまで向日葵でも眺めているか…。
伊達政宗
あんたの願いの元に降り立ったこの竜の役目は、あんたの願いを守り幸せにする事。
だがどうにも、俺ではあんたを幸せにできねぇらしい。俺とあんたとで積み重ねてきたはずの何もかもは全部無駄だったんだろ?でなけりゃ、この期に及んで自分には何もないなんざ言えるわけねぇよな。
いい加減にしろ。あんた自身を虐げる事が俺達の今までを否定する事と同義だとまだわからねぇのか。あんたには俺との居場所が確かにあるはずだろ。
…書き置きは苦手だ。さっさと帰ってこい。俺にはあんたが要る。
石田三成
私には、何もない。
全て見失った。何もない。
必要とされる事もない。
誰も私を必要とはしなかった。