月いろの手紙  SONG NOTE2/FREE

過去ログ200 2010/9/15 23:43

●鳶雅盜
無題


 ふみつむぎ
 おとなしこえの
 きよらかに
 すみたるかほり
 ほのかなるかな


 文紡ぎ
 音無し声の
 清らかに
 澄みたる香り
 仄かなるかな



2010/9/15 23:43
HP

●蓬莱武仙
項 羽 一 点 花

【 項 羽 一 点 花 】


項 王 点 心 花 艶 姿 虞 美 人

四 面 満 楚 歌 覇 道 知 終 焉

現 世 既 劉 漢 楚 地 無 中 原

項 龍 昇 決 心 妃 羽 化 登 仙


項王は心に花を点ず、虞美人(ユンメイレン)の艶姿(あですがた)

四面は楚歌に満ち、覇道の終焉を知る

現世は既に劉の漢、楚の地は中原に無し

項龍は昇るを心に決め、妃は羽化登仙す



2010/9/15 1:52
HP

●鳶雅盜
縛魂子

【縛魂子】


廃屋の中を彷徨っている

どの部屋も良く知っている見慣れた部屋だ

私だけ何故此処に居る

かつてこの家は少ないながら人が居て細やかながら活気があった

その中の一人は私

でも今は誰もいない

最後の一人が居なくなってから三十年になる

最後の一人は私だった

次々と家族を送り出し最後に残ったのが私

一番最初に送り出したのは何よりも可愛がっていた小さな家族イエネコ

私は何年も悲しみにくれた

私が彷徨うこの廃屋も明日取り壊される

取り壊されてしまったら私は何処を彷徨うのだろう

解体業者の車が止まる音がした

私の魂はこの家と共に消滅するのか

耳元でニャとイエネコの省エネ鳴きが聞こえた

一番最初に送り出した小さな家族のイエネコだ

そうか迎えに来てくれたのか

イエネコはもう一度ニャと省エネ鳴きをして私の胸に抱かれた

そのまま私とイエネコは静かに消えた



2010/9/14 20:45
HP

●鳶雅盜
保つと整え

【保つと整え】


心静かに在りたいと思う時こそ心穏やかならぬ鏡

心穏やかならぬ根源が分かっても心穏やかになる訳では無い

何故心穏やかになりたいか

それは心穏やかならぬ状態が快く無いからだ

快く無い状態を脱したいが為にあがくと更に心の水面は波立つ

心静かな状態が最上とは思わない

楽しい波立ちは快い

要は常に快く在りたいと言う贅沢な気持ちが災いしているのかもしれない

喜怒哀楽の怒と哀を避けたいが為に無になってしまう事は意外な落とし穴かもしれない

怒と哀があるからこそ喜と楽の有り難みの味わいがある

しかし、いつでも心をニュートラルに出来る様に努力する事は無駄ではない

喜怒哀楽のうち、どれ一つ過剰があってはバランスを崩し自分を見失う事になる

過剰を抑える為にもニュートラルが必要になる

心の水面を鏡面の様に整える

整えるのであって保つのではない

とても難しい事だ。

そして回りへの配慮を考慮しない自己中心的な自己満足の精神の在り方に陥り易い危険性も孕んでいる



2010/9/14 5:50
HP

●鳶雅盜
惑わされし者

【惑わされし者】


己の齢に惑わされ何かを勝手に棄ててはいないか

汝は己の齢に惑わされておろう

齢より見た目が十歳以上若いのは稀ではあるが汝はそれを顧みていなかろう

汝はそう言う体質に生まれたのだ

他人より十年得しているはずがその齢に惑わされて勝手に情熱を捨てたのだ

汝の今は風情は有っても華は無し

汝は何時の間に華を愛でる事を捨てたのだ

汝は勝手に情熱の華を棄て

華が無いと夜迷いごとを申しておるは滑稽なり

華欲しくば自ら華となれ


そう、いつも自分に言い聞かせていても、火種がなければ情熱の華は咲かないのだよ



2010/9/13 20:08
HP

201199

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