哀切
過去ログ48
2011/10/11 22:12
◆長曾我部元親何時迄も生温い場所に居る理由はもう無い筈だ。アンタも本当は解ってんだろう?昔には戻れねえってよォ。
せめてアンタが苦しまずに済むように、鬼が嫌われ者を引き受けようじゃねぇか。なァに、代償は愉しかった思い出だけで十分よ。釣りが出るくれぇだ。
やっぱ鬼にャ色恋なんて綺麗なモンに触れられる手は持ち合わせて無かったなァ。
さようなら、有難う
◆真田幸村時間を置こうと、貴殿は言った
全て某が悪い―分かっているのに
某が貴殿を責める義理など持ち合わせておらぬのに
―会えぬだけで、胸の内に穴が空いたような気持ちになる。離れぬと申してくれた…疑う訳等無い。だが、毎日何気ない言葉を交わし愛しくて堪らなかった貴殿を見れぬだけで会えぬだけで、こんなにも涙が溢れる…執着は恐い。
執着してしまえば、離れる事が恐くなり今の某みたいな物が出来てしまう。
早く、早く、貴殿に会いたい。声が聞きたい、触れたい…抱き締めたい。
政宗殿、某の…政宗殿。
貴殿への愛は、某が他の物に紡いだ感情では無く…本当に政宗殿が愛しい、愛しておりまする。
◆お市気付いてる…?最近は市にくれる文が少し違うのよ。
あう、っていう字。
前は「逢う」って書いてくれていたのに…今は「会う」になってるの。
ねえ…他に好きなひとでもできたの…?
こわくて、きけないの。
◆お市新しい恋をすれば…忘れられるの…?
…でも、市には出来ないわ…。
市はとても女々しいから…ずっと、想ってしまうから。
…だめね。嫌われたく…ないのに…。
ねぇ、どうしたら良い…?
…もう…苦しいのは厭なの…。
◆真田幸村哀切とはまた些か異なるようにも思われるが、ご容赦いただきたい。
…我が愛しきは真その内側が見えぬ御仁。
見せてもらえなんだ。
弱さも、疲れも、不満も。
某が知るのは広き寛大な心に安堵を誘う包容力、そして自立した者の余裕。
あの御仁は独りでも何の不自由も無く歩んで行けましょう。
減りに減った文がそう思わせる。
多忙とのことであったが、それだけではないと何とも無しに感じるのでござる。
何度も、もう文は返すまいと、意地を張ろうとしても…貴殿の甘く優しい気遣いや言葉に、涙が出そうな程、喜び安堵してしまう。
3日、5日、10日と空く日々が哀しく切ない。
しかしあの御仁を手離す勇気が無い。
偽りだとて、あのように己を呼び、求めてくれる方は他に存在し得ぬ。
哀しくて切なくて、愛しくて憎たらしい。
某はいつか、この想いに身を巣喰われ悪鬼にでもなってしまうのではないかと恐ろしく思うのでござる。
如何致そう。
右目殿。そなたは主人が醜く歪んでも傍にいて下さるのだろうか。
◆いつきおめぇさんは気付いてるだか?毎日毎日ちょっとずつさ減ってってる手紙の事。
初めて逢った時から3ヶ月、文箱はおめぇさんの手紙でいーっぱいだったべ。
箱の一番上も一番底も…オラも手紙書くのが楽しくて嬉しくて、色んな話毎日したべなぁ……。
そっからまた3ヶ月……文箱の底に、もうおめぇさんの手紙は見当たらねぇだよ…何処…行っちまったんだろなぁ。
オラ捨ててねぇのに、おめぇさんの手紙捨ててねぇのに見当たらねぇだ………。
毎日毎日いっぱいなんて無理な事ぐらいオラでも解るべ。
長く居ればお互い知る事も増えて色んな事考えちまって……難しい言葉は出て来ねぇから何て言って良いかわかんねぇけど、おめぇさんとの手紙は次の日になれば新しい会話になっちまって、昨日の言葉は流れちまうべ?
話しちまったら駄目だったか?あれは嫌いだったか?聞いて良かったか?色々考えてたら何も言えなくなって………だども、オラおめぇさんと話するのが好きだ!
オラとの手紙はおめぇさんにとって“ぎむ”ってやつになって欲しくねぇだよ…だども手紙が無いのは寂しくて、オラの我が儘だって事は解ってる。
嫌いなら嫌いって言われても……………嫌だ。
本当は嫌だっ!もっと話てぇし傍に居てぇ…でも嘘の言葉は聞きたくねぇだよ。
どーすれば良いかわかんねぇ。意地っ張りなあ……あんちゃんが言わねぇからオラが勝手に言った事だ!あんちゃんは悪くねぇ。
オラはいらねぇだか?もうおめぇさんには邪魔だったか?堪忍な………おめぇさんが嫌いそうな事ばっかり言っちまっただよ。
だども泣いたりしねぇ!泣くのはおめぇさんが一番嫌がるから泣いたりしねぇ……笑ってねぇと嫌われちまうもんな。へへっ、少しはオラも強くなったべ?