╋恋文╋


エドガー
昔々の話だが、私などには勿体無い妻がいたのだ。彼女はそれはそれは美しく、可憐で、そしてどこか儚い存在。
思い返せば、私の身勝手さで振り回してばかりいたね。そんな私に、何時もどんな時でも真摯に向き合ってくれていた。そして赦しも与えてくれていたのだ。
慈悲深いと言うには収まりきらないその温かさ…老いかねえ、唐突に思い出して、気が付いたらこの場所に来ていたのだよ。
ほら、また身勝手...ーーー許してくれるかい?


甘いラブレターには程遠い
ただこの内にあるのは紛れもなく愛故に、此の場に綴らせて頂くよ。

セリス。君が何処かの空の下で、幸せに包まれていることを、心から願うーーーーー。
ライトニング
最後の連絡から一年。その日を、お前との完全な決別の日と……刻もう
我ながら情けないとは思うが、これでもお前の事は……

とある馬鹿野郎へ、雨音を聴きながら。

2021//MoonRose
ティーダ
元気かな。myosotisののばら。
最近オレも忙しくってな、この世界からも遠くなってたッス。
久し振りに辿ってきて、ようやくここに顔を出せた。だってのばらとの印は消したし、辿りようもなくて。
なあ、大好きだった。季節も巡るし、春だし、世間はちょっと騒がしいけど。大事無いといいなって思ってる。こういう時、いつも気をつけろよーなんて言葉を交わしあってたことを思い出したッスよ。
もしまたどこかで会えたら!そしたら少しでも話せたらいいな。近況の報告でもできたら嬉しいッス。ほら、もうこの世界でオレがのばらを探すなら、もうアンタしか居ないよ。
体調悪ければ休んでろよな、看病はもう出来なくても、夢だけは辿って行けるから。
ティーダ
少し落ち着いたら残そうと思ってたけど、こんなに早く先越されちゃったなんてさ…。時間作ってでも返したいって思うだろ。
こんな風に…こんなにしてもらって。ああ、本当に大事にしてくれてたんだって。ずっと、最初から感じてた。
だからオレの我儘でずいぶん振り回したってことは反省してる。…だからこそ、幸せになって欲しいけど…けど。これもオレの我儘ッスね。

色々と触れ合いをさせてもらって、甘やかして貰って。本当に楽しい時間をありがとう。オレが返そうとしても、更に上をいってオレを構って、ずっとドキドキしてた。
ずいぶん独占欲の強い王子様だったな、オレも人のことは言えないか。まだ聖域には戻らないでフラフラしてるんだろうし、迷子になったら導いてほしいッス。

決して嫌いになったから居なくなったわけじゃないってことは、そこだけは理解してくれると…なんて。うん、やっぱり、オレにはもったいないくらいの人だった。
オレにとってもこの姿は、オレにとってのフリオニールだけだ。仮に探すとしても、きっとアンタだけだ。…今でも、大好きッスよ。ありがとうな!
フリオニール
何処に気持ちを残して良いか分からなかった…けど、おまえには愛しさと感謝が多くて此処に残す事にした。…一度離れ掛けたのに俺の声で長引いた関係も今日で終止符を打ったな。…それで悲しくなったか、と問われれば悲しく思う…けれどおまえに逢えて愛を交わせる事が何よりも嬉しくて楽しい時間だった、文句の一つよりも俺からの言葉は「ありがとう」「好きだ」と伝えたい。

…最後に新しい人は直ぐに見付かるって言ってくれたな?…この姿は1人だけにしようとずっと考えていたから最初で最後だと思う。現に言葉を交わしていたのはおまえだけだったんだから。これ以上探す事もしない、もし探すならおまえの姿をした「誰か」じゃなく、おまえ自身を探すだろうな。

9ヶ月…俺の傍に居てくれてありがとう、ティーダ。とても眩しくて暖かい太陽だったよ。それと…お姫様になってくれて嬉しかった。
まだあの場所は消せそうに無いから、俺の気持ちが落ち着いたら扉を潜る事にするよ。それじゃ、ティーダ…過去にするのは嫌なくらいに、愛してた。
フリオニール
驚いた…まさかバレてしまうとは思わなかった。星に願うなんて気恥しいとは思ったんだが、おまえまで届いて良かったよ。

この世界でおまえと言う存在に出逢えて良かった…、甘えたの寂しがり屋で俺の腕に収まろうとする姿が可愛くてつい俺も応えてしまう。それが愛情表現であるなら尚更全力で受け止めたい。

嬉しいって気持ちは俺にまでしっかり届いているからこそ、俺もおまえに返したい。繋がれた手を俺から放す事は難しいな…、何時までも続けば良いと思うくらいには。

茨の中に閉じ込められたお姫様へ宛てた手紙を此処に…。