長曾我部元親
――別箱に隠してた文を、数年越しに手にした。テメエで隠しといて必死で探しても見付けられないあたりが、詰めの甘い俺らしい……なんざ、笑ってくれるアンタはもう居ねえ。

なァ、政宗よう。息災に…いや、幸せかよ、アンタは。

時の流れってのは恐ろしいモンで、手を離してから陸年も経っちまったな。共に歩んだ弐年弱、一部じゃあるがそれでも軽く千を超える文にアンタを思い出した…と、見栄を張りてえ処だが今日は止めとくぜ。竜の住処も知らねえってのに、地が揺れれば心配になる。闇が陽に打ち勝つ様を見りゃアンタが好きな刻だったなと思い出し、毎年七夕になりゃ今年は泣いて過ごしちゃ居ねえかと余計な世話を焼いちまう。女々しい程に、まだまだアンタが此処に居座ってやがる。

奇跡的に取り戻した文を読み返して、改めてアンタを愛してた事を誇りに思った。届けるにはちィと季節が巡り過ぎた想いだ。俺も手を離すのと同時にこの世界を離れた、きっとアンタも此処には居ねえだろう。


今でもアンタを愛してる、嘘吐き鬼でごめんな――奇跡に乗じて、許せよ政宗。
石田三成
貴様を理解し、受け入れようと努めたならば、何時かは私の言葉が届くのではないかと、夢を見ていた。
少しは私を理解しようとしてくれるのではないのかと。
それが私の思う恋情だった。

貴様は、都合の良い存在を惜しんでいるだけだ。
私ではない、ただ何もかもを許容し受け入れる、そうした者を惜しんでいる。
竹中半兵衛
この感覚は知っているよ。終焉が近いんだろう。
嗚呼…僕は結局、独りで居る時よりも想う人が居る方が辛いだなんて、わかっていたのに、どうして…
後藤又兵衛
この姿で声を紡ぐのも久し振り、だぁ…。

結局オレ様はあの日のまま、山を降りきれずに麓に留まってるってのを…気付くな…気付くなよぉ?
じゃないと、処刑を執行しちまうだろぉ…?

繋いだ手を離すべきと理解はすれども、木偶同様に愚図付いたせいでお前には辛い選択をさせちまった。
寂しい思いも沢山…嗚呼、せめて、どうか…独りはこんなに寂しいから…朽ちる事無く笑ってろって、ねぇ。

毛繕いなら他所の誰かに…否、それだけは譲れないんで別の顔でと願うのは我儘か。

過去に出来ないまま今一度…愛してますよ。
真っ直ぐで臆病で、秘めた熱は誰よりも大きな唯一の狼。