彩 愛 美
[幽体離脱]


公衆電話からだと思われる 非通知電話が入る
それが私からの電話だと あなたは気付く事も無くて
意図して失くした 携帯電話には
あなたからの着信が 入る事も無い

自分から切ったラインを また繋ごうとしている
途切れた空間と空間が 繋がる事は落盤してもう無い

進もうとする私と 戻ろうとする私が
何処かで分離して 行こうとしている
もうとっくに終わって しまった事だと
どんなに言い聴かせても 泣く子供みたいに


壁をすり抜けて思い飛ばして あなたを追い掛ける
体と心が着いたり離れたりを 繰り返している
私の中に芽生え 始めている
別人格の 私の存在

自分の都合に合わせて 他人の振りをしている
無意識なスイッチ一つで 性格まで切り替えてしまう

優しくある私と 強暴である私と
どちらとも言えない 支離滅裂な
パラレルに転回 して行く世界
自分でも信じ難い グラデーション


出逢いと別離を何処かで ラインを引いて
ピリオドマークを付けるか 迷っているの


顔の無い記憶の中の あなたと私が
陽炎のように ゆらゆらとしている
ぐら付いている曖昧な 私の覚悟
もうどうだっていい事 また蒸し返してさ
彩 愛 美
リ・フ・レ・イ・ン
[リ・フ・レ・イ・ン]


さよならが
消えない…

耳の奥に焼き着いて
何度も何度も
繰り返されて行く

さよならが
消えない…

耳鳴りの風鈴が
カランカランと
凪の脳裏に
響き渡る

夏蝉の雑然の調べが
交錯する平衡世界で
消えない消しゴムを
何時までも
擦り続けていた

さよならが
消えない…

どんなに記憶の
上書きを繰り返しても
深く刻み込まれた
消せない言葉が
レリーフのように
何度でも浮き上がる

さよならが
消せない…
彩 愛 美
願  い  星
 
ずっと 探し求めていた星 届くはずなど無いと
とっくの昔に 諦めて居たけれど…
わたしだけでは無く
あなただけでも無い
ふたりの友達 その友達が みんな一つになって
初めて星は光を放ち 標星になった 

何十億の人が 一つの地球(ほし)に住んで
ただ一つの願いに 手を合わせれば…
大きなボーダーの 向こう側へ…
 
いま わたしにも 出来る事
そう あなたにも 出来る事
 

夜毎 見上げて求めていた星 夢の国を彷徨い
名前さえも 知らないままに居たけれど…
ぼくだけじゃ無い
きみだけじゃ無い
誰かの声が 誰かの声を呼び 拡がって行き
やがて何時かは 名前を知る日が来るのだろう
 
悲しみの数を 数えて居るよりも
笑いの数を 数える方がいいさ…
大きなこの海の 波の先へ…
 
いま ぼくのままで 出来る事
そう きみのままで 出来る事
 
 
願い 祈り 叶えようとする力の
一つ一つは とても小さいけれど
みんな纏めて 一つに出来るのならば…
この 大きな青空の 彼方まで…
 
 
いま わたしにしか 出来ない事
そう あなたにしか 出来ない事
きっと きっと わたし達にしか 出来ない事
 
彩 愛 美
変革(即興詩)
失くなった物を
惜しんでみても
戻らない現実は
変えようが無い

出来なくなった
過去の日常生活
後ろ向いて居て
何が出来るのか

今これからの事
出来る事考える
明日を探さねば
この足このまま

変革の時は来た
退化か進化を今
問われ居るのに
この足このまま
彩 愛 美
ちりざくら(即興詩)
さけなくなると
しりゆくさくら
こころのこして
ちりゆくさくら
 
ひとめひとめに
さりゆくさくら
ふためとあえぬ
かれゆくさくら

まださきたらぬ
ふりゆくさくら
きりたおされて
おちゆくさくら

もうかなわぬと
なきゆくさくら
あもいしたため
さよならさくら