彩 愛 美
返答不能
偉い先生が
今日も私を呼び付けては
長々と説教を始める

やたらと
難しい言葉を
数珠繋ぎに並べて
まるで理解出来ない
長過ぎる話を
延々と続ける

文法も
使い方も
めちゃくちゃで
前後の繋がりだって
どう解釈していいやら
困惑するばかりなのに
最後には
何時も決まって
どうして君は直ぐに
返答をしないのかねと
詰め寄って来る

意味すら解らない
上辺だけの
身に付いていない言葉を
如何にも知識人ぶって
羅列しただけの話を
どうやって理解して
返答すればいいと
言うのだろう

たぶんまた明日も
怪し気な宇宙人言葉が
私を悩ませる

彩 愛 美
夢 桜

散り散りになる 旅立ちの日
それぞれの想い 胸に抱いて
西へ東へ 南へ北へと
夢の種を 飛ばして

希望と言う名の花の蕾 その胸の中で育てて
何時か錦花を咲かせたら 郷に帰ろうと想うけど

朝になれば 何処かに消える
儚い夢のように 風に舞う
散らせる花の哀れさに 木の葉を纏う春桜
咲くも散らすも実らない恋 その胸に深く


応えを詠めない 謳い人は
春の旋風に 彷徨っているばかり
何時か我が身の 全てを綴れる
その日を 夢見ている

明日が来れば浮かぶのだろう 新しい人と出逢って
知らずに居た言葉の数々 花を咲かせてくれるのだろう

何時になれば 辿り着けるのか
遠く果ての無い 旅路の先
ふらつく足の重たさに 木の葉を揺らす夢桜
往くも戻るも謳えない詩 口遊むように


もう幾度と無く繰り返す 同じ季節の夢を紡ぎ
何度散ってもまた咲かせたい 夢は何時の日にか花になる


春になれば 咲けるのだろうか
拙い夢の花でも 誇らしく
終え行く旅の淋しさに 木の葉を伸ばせば時桜
泣くも笑うも春霞に 夢桜が咲く

彩 愛 美
昔 未 来

昔見た SF
映画だったのか
アニメだったのか
覚えてはいないけれど
今 その未来の時を
こうして 迎えられる

描かれた未来は
何もかもが
機械化されていて
誰もが快適に暮らせる
理想世界だった

現実社会では
未だに4つのタイヤで
地上から離れられない車
同様に古い体制から離れられない
エリート主義世界

プラズマテレビも
スマートフォンも
描かれ無かったけれど
テレビ電話機等
当時の夢が映し出されていた

今現在
通信機器だって
種々様々に増えて来たのに
本当のコミュニケーションが
出来なくなって
夢を失くした人ばかり
これから先
どんな未来を描けば
いいと言うのだろう
彩 愛 美
戻れない恋

恋しくて 求めた別れに
何の疑問も 抱かなかったのよ
今の自分に 一番似合うものをねと
何度も試食して 恋を探していた

少しでも不満に 想えたら迷う事も無く
簡単に 切り棄てて来たけれど
こんなにも裏切られる事に 不馴れだなんて

約束を破ったのは 私の方よ
どんなに責められても 責め返せはしないわ
きっとどんな悪口だって 今なら受けられる
それ程に心は 空っぽになっていた


同じ恋 再び 始める
程に疲れて 情け無い姿
意地のメイク 落として素顔の心を
晒して剥き出しの 痛みを噛み締めた

粉々に千切れる 想い雲のように流れ
破片すら 拾い集められない
当たり前の結果だとしても 心が痛い

嘘を吐いたのは 私の方よ
今度は同じ嘘に 私が騙されたの
与えられた罰の重さ ジリジリ灼け付いて
この胸に刻んだ 罪のタトゥー抱き締めて


別れを切り出したのは 私の方よ
今更どんな顔で あなたに逢えばいい
わざとらしく傷口避けて 変な気を使って
同情されたらもう 恋にはならない


彩 愛 美
老化現状

今まで
何でも無いと
想えていた事が
急に重苦しくて
自分の体なのに
言う事を
聴いてくれなくなる

今まで
簡単に手が届いていた
距離感を
測れなくなって
空を切って
倒れ込んでしまう

今まで
まるで気付かずに
進行していた老化
ただ単に
認めたくは無かった
それだけなのかも知れない

老いて行く事は
誰にでも訪れる未来
もっと先の事だって
誰もが想いたくって
それでもその日は
突然やって来て
現状を維持出来なくて
日に日に衰えて行く
体と心のバランスに
また今日も一つ
老化して行く