片倉小十郎
此の侭、心が離れるかも分からねえな。
今迄が悉くそうだった、考えねえようにはしているが、此ればかりは何とも言い様がねえ。…柄にも無く怯える己。ハッ、笑えるじゃねえか。何度も経験してきた展開なら、何も今更恐れる事なんざねえってのに。何れだけ頭抱えようが変わらぬ事態。御隣同士の仲良しサンだったろうが。慣れてるだろ。何を今更。なのに脳裡掠める展開が心を乱す。
主には到底見せられねえ無様。
剣筋は只、鈍るばかり。
大谷吉継
あの日、初めて会うたぬしと言葉を交わしながら、不意に此の場で恋慕を告げねばならぬ、でなくば屹度後悔すると、降るような何の脈絡もない確信に襲われた。
何を莫迦なとわれながら思った。そのような真似に出られる訳がない。

だが、結果としてはあの予感の通りとなった。
あのような事は後にも先にも覚えがない。あの予感に従ったとしても、一笑に付されるだけで終ったろう。
それでも、…あの予感がなくば、ぬしとの別れはよくあるそれの一つで済んだのだろうかと、考えてしまうのは止まぬのよ。

幾年を過ぎて尚もぬしを忘れえぬ、われの愚かさに呪いを。

三成、ぬしの誕生日に祝いを。

幸であれと願うばかりは変わらぬ。
真田幸村
──そう、大好きで御座る。
猿飛佐助
ああもう、あんたって御人は。
そんな事言わないでおくれよ。

何れ離れる事も理解出来るさ。
冷めた物言いだが、正直不変なんて無い。少なくとも俺様はそう思う。
だけど、其れはもっとずっと遠い先の御話でしょ。

今は、さ。好き好き大好きで良いじゃないの。何を見てそう思ったのやら、俺様の愛が足りてないって事かな。

言わないでいる事が一番傷付ける。
傷付けるのが嫌いな俺様は、万が一そうなったら言うに決まってるだろー。

ま、此れも醍醐味。
次回は容赦しないから覚悟しといて頂戴な。