殘香〜yours〜

過去ログ284 2009/7/8 14:34

☆Yumetsuki
夢見るお姫様
森の中の白い洋館

庭の花壇には色鮮やかな花々

ヒラヒラと数匹の蝶々が
蜜を求めて花から花へ

異国のお姫様のような
ドレスを着ている私

綺麗な花たちに囲まれている

花の蜜の甘い匂い

柔らかな日差し
優しい風

背後から聴こえてくる愛しい声

笑顔で振り返る私

あなたが近づいてくる

あなたに駆け寄り抱きつく私

抱きしめ合う二人

温もりが伝わる

流れる幸せな時間

あなたが優しい声で囁く

「愛してるよ」

近付くあなたの顔

ドキドキしながら目を閉じる私

数秒の沈黙


流れる砂嵐

私は驚き目を開ける

乱れるあなたの画像
ノイズ混じりのあなたの声

電源を切るように
あなたが消える


動揺する私
あなたの名前を繰り返し呼ぶ

断片的に巻き戻る映像
現実が脳内に戻ってくる

泣き叫ぶ私

視界に広がる黒い世界
全ての映像の電源が切れた


檻の中の白い部屋

拘束された体
体から伸びる幾つもの線

泣き叫び暴れる私
夢と現実が交錯する

鳴り響く金属音と機械音
駆けつける数人の医師

半狂乱の私

永遠に失った最愛の人
消えた二人の未来

現実を拒絶する心
絶望が戻ってくる

腕を押さえる医師

大人しくなる私の体
薄れゆく意識
伝う涙

滲む視界の向こう側
夢見た幻が微笑む

鳴り響くウェディングベル
チャペルの中の白い空間
綺麗な花々の装飾
祝福の拍手
祭壇に立つあなたと私
銀色の指輪
誓いのキス…


あなただけの
お姫様になりたくて


夢見てた
夢見てた…
2009/7/8(Wed)14:34
HP

☆from【LOVER】
満月の下で‥
砂浜の長
ヤドカリ爺さんが
貝殻帽子を脱いで家族達を集め、空を見上げて静かに語り始めるその頃に‥

砂丘砂漠の長老
ラクダの長が立ち上がり空に向かって何やら呪文を唱える様な唇で静かに語り始めた

去年秋に生まれた、
最年少の子牛達が瞳を輝かせて大人の群れを小走りに尋ねて廻る。

ねぇ、今夜は誰が来るというの?サンタクロースのおじいさん?
かぐや姫のお姉さん?

語り終えたヤドカリが両手を組んだ。
空を見上げたラクダがコホン、コホンと咳をした。牛の群れ達が一斉にモーゥ!と声を揃えたその瞬間

満月の裾‥
オーロラの滝が溢れる路が開かれた

その中央から今宵の為の真っ青な幕

天の川‥

天地万物の誰もが目を細めて見守る夜に

手と手を取り合う
二つの頭がひとつに重なるのを歓喜する影

踊り乱れて祝福の花火と化しては消えゆく
流れ星達の鮮やかな艶やかな光ファイバ-

今宵ばかりは
いつまでも眠らない織姫と彦星のひとつの影

年に一度の幸福な夜
年に一度の逢瀬の宴

今夜しかない
ひと夜限りの七夕祭り
2009/7/7(Tue)13:02
HP

☆小此木笑子(代理、葉寐翠瀞)
悲しがる彼の腕
定型詩『悲しがる彼の腕』


    僕の命の塊
    血脈を縫い
    息、そこで
    絶えようと
    構うものか


追いかけるだけでは辛すぎる
泣きそうになりながら、僕は
君だけを追い続けて、今は昔

亡くさないで欲しかったのは
同じ空を見続けていたかった
ありがとうそしてさようなら

逞しい腕の中で打ち拉がれる
アンバランスな感情に辟易と
ありがとうそしてさようなら

崩れていく日常に心躍らせる
戻れないのなら戻れないなら
我が侭も何もかも僕は聞いた

ありがとうそしてさようなら


『悲しがる彼の腕』


独自定型:13(5)文字
S.Oconogi
2009/7/7(Tue)5:58
HP

☆、彩 愛 美
出逢い星

笹の葉揺らぐ 天の川の岸辺
今宵一晩だけ 流れを塞き止めて
牛の背に揺られて 向こう岸まで
一年の想い抱いて 出掛けます

笹の葉に託した想いが流れ着く
その一つ一つが力を与えてくれる

待ちわびた一夜だけの出逢いの時
その力でどうかあの人に 逢わせて下さい


笹の葉香る 天の川の調べ
天に昇るような 浮かれたこの想い
ずっと胸の中で 温めて来た
一年は想うよりも 長い日々

誰しもが想い願う空を流れて
希望で熱くなる胸の想いが溢れて

先を急ぐ足取りの軽やかさで
険しい道だって真っ直ぐ辿り着けるから


生きてきた全ては今宵この時のためだけに
今全ての想いが報われようとしている


星の巡り逢わせの一時だけ
光の糸辿りあの人に逢いに行けるから…


2009/7/7(Tue)0:33
HP

☆、彩 愛 美
雨に起こされて
雨が
あんまり
硝子窓を叩くから
こんな真夜中に
目を覚ました

激しい雷が
空を光らせて
この眠りを
妨げている

中途半端な時間に
起こされて
どちら着かずならば
もう少し
ちゃんとした
睡眠を取って
明日の朝までに
体力を回復しようと
想うけれど

少し
寝息を立てると
また 雨が
激しく降り始め
まるで
こちらの様子を
伺うみたいに
意地悪をする

このまま
朝が来るまで
降り止みそうにも
ない雨が降り続く夜
2009/7/5(Sun)22:50
HP

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