殘香〜yours〜

過去ログ352 2010/3/29 12:56

☆如月ゆゆん。
雨女
雨の朝、
どふどふと早鐘打つ私の膨らんだ胸にてをあてがふ
ああ、感じふ、胸の鼓動。
軆を浅く抱きゆっくりと歩き出す、
雨中散歩。

天を仰ぎ見上げれば、泣ひている雲。
まるで私の気持ちのよふ。


哀しみの朝。
私の好きなブラウスの袖の黒のなんと重きことか。
急ぎ鐘鳴らしてはしりゆく電車の窓の曇りに、手のひら重ね
流れはじめる駅のホームと窓の結露、細き指でたどれば、
どふどふと溢れ出すのはこの私のこころでしやふか。

喪失ではなく、喪失ではなく。
吐く息は白く。
濡れた髪と、びしやびしやのブラウスの服。
私の膨らんだ胸が私を、
私の熱を奪つてゆく。

喪失ではなく、喪失ではなく。
濡れそぼつた軆と私の膨らんだ胸からこぼれだす何かが電車の座席の布をしっとりと濡らしてゆく。

喪失ではなく、喪失ではなく。
ああ、寂しい気がする。
これが哀しひといふ、ことでしやふか。

ああ、いつそふ胸が
張り裂けてしまへばゐひのに。

ホームを過ぎ去った後に、震える肩を、膨らんだ胸を、か細ひ腰を、軆を、抱いて。
今も泣ひている天のやふに泣ひてしまった私はきつと、
雨女なのでしやふ。


ああ、雨の朝、
どふどふと早鐘打つ私の膨らんだ胸にてをあてがふ
感じふ、胸の鼓動。
軆を浅く抱きゆっくりと歩き出す、
雨中散歩。

天を仰ぎ見上げれば、泣ひている虹。
まるで私の気持ちのよふ。

さよふなら。
ひどいじゃ、ないか。

ひとりぼつちよ。
どふか、置いていかないで。
雨上がりの蒼空。
2010/3/29(Mon)12:56
HP

☆、彩 愛 美
ドーナツ化現象
 
がらんどうの心
ドーナツみたいに
ぽっかりと
真ん中が
抜け落ちて
失くなってしまう

小さな穴は
自分でも
気付かない内に
あっと言う間に
拡がって行き
大事な物が
次から次へと
こぼれ落ちて行く

もう停める事が
出来なくなってから
初めて
異変に気付いても
もう手遅れで
取り返しの着かない所まで
崩壊してしまう心

意識さえ
遠退いて行く
次第に想いは
ドーナツ化して行く
自分を失くす事に
慣れてしまった
この街の中は
みんなロボットで
溢れていた
 
2010/3/28(Sun)23:49
HP

☆ぽまとりん
花都々逸
白から赤へと

変わっていった

ミツマタ誰に

恋してる?


※ミツマタの花の句。白から赤に変わっていく姿を初めて見ました。
2010/3/28(Sun)19:07
HP

☆宇佐 世白
籠絡エデン、最終項
灼熱の朝が潰えて
蹙る夜に支配される
此処は欺瞞のエデン
極楽追放の磔刑に寄せて

偽り無き声で
わたしは喊びました
あなたを呼びました

穢れ切ったこの声では
最初の弟で汚れた眸では

駄目だったのですか
こんなに愛していても
わたしはこうして
あなたを
結局の所は永遠に拠って
瞑らせる事しか出来ない

あなたが何時かわたしを
永久に瞑らせる
その時まで

此処は泪の溢れた
約束のエデン
欺瞞を剥ぎ取って
籠絡を落とした

わたしを胎内に宿した
約束の地上
わたしの居ない
最期の地上
2010/3/28(Sun)6:48
HP

☆ICE
evil
王は、赦されるものではない。

慈悲深い世の情け、ギロチンさえ与えるな。
記憶はゆるゆる溶かされて、据えた台座に、襤褸切れひとつ、一息に振り降ろす、残光も儚くに。

仕事は何時もお馴染みで、工場にありふれたカタヌキの十字架を、飲み込んだ執行人は、聖者の吐息を吐き出した。

真っ二つか三つ、四つ、幾つと言えず破片を撒いた、今や異国の万華鏡!
夜の広場のきら星と共に。
音無き歓声は響く。

「いる、きる、さす、その罪で!」

しかし観衆の数名と、罪人は、彼の最期までうろんな顔で、考えたのは誰も教えない、その罪の名だった。
2010/3/27(Sat)23:47
HP

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