殘香〜yours〜

過去ログ357 2010/4/10 14:59

☆宇佐 世白
それは壱つの
不思議な感覚のする
小夜更けて
生も死も知らない
嬰児のような

わたしの何処かが
少しずつ剥落する
微細な音が
聞きたくもないのに
脳裡に谺する

夜は凪いだ海と似て
わたしを靜かに孤独へと
押しやるから
だから詰まらない事に
泪までも抱えて

何時だって良いとずっと
思って居た時日には
もう戻れない
わたしは人形のように
また明日も訪れる孤に
怖れるのだろう

あれが何で在ったか
忘却の彼方は酷く霞み
思い出す意識の綫は

それは廻る春に無くした
壱つの"無"と云う
感情であった
2010/4/10(Sat)14:59
HP

☆、彩 愛 美
操車場に帰るバスの中で
 
僕が君を抱き締めた 深夜のバス停に
時刻表に無い最後のバスが
もうすぐやって来る頃だね

最終バスが出た後なのに
行先もコースも決まっていない
半回送の最後のバスが来る

二人で運転手さんに行先を告げて
料金を支払い 奥の席へと乗り込む


誰が乗るとも知らぬ 深夜のバス停を
巡るようにジグザグに走る
何時もと違う不定期便

帰り着く時間予測出来ない
それ程に出鱈目なコースを走る
景色などまるで見えぬ闇の中

二人で語り合う時間は有り余る程で
ずっと遠い街まで 二人して行きたくなる


こんな想いが溢れ出して掴めない
座席に残したままでもうすぐ目的地に着く


闇に迷い込んだ二人は このバスの中で
もっと深い絆を また一つ刻んでいた


 
2010/4/10(Sat)0:42
HP

☆如月ゆゆん。
鬱金香 1
ああ、ただ哀しき謌を詠はば、声清んで。
深く深く沈むだ窓の奥の貴女の聲かほりは暮れなづむ、西陽の照らせる影に浮かんでは窓深くに姿見のやふに撮してく。

儚げに揺れるその影に
細い指と肢体、豊かな胸の頂き、綺麗に切り揃へた漆黒の髪短くも、浅く深くふはりと抱いて頬を初めてゆく。

ああ、貴女の瞳より溢れるその哀しみがまるで宵の帷にもやふ似た貴女の髪も、頬も胸や肢体も指の先の熱もみなみな濡らして逝くよ。


ああ、さくらしべやさくらしべや、鬱金香。
陽の陽の背に受けて微笑む貴女を贈りませふ。
貴女の好きな可愛らしき親指の媛の花を窓の外にそつと贈りませふ。

白はやさしさ智る清みし心を
赤は可愛らしき親指の媛のこひごころ。
黄は明るき微笑み湛へ朝のその先見詰めむ
紫は心瀞かに大人の慈しみただ穏やかに。
黒く染まりしは哀れひ、怒り苦しまむを廣く広く包みて心安らかと為す。
ただ蒼きは水面の鏡の如見事に美しき、これぞ正しく心あらはれるやふ。

ああ、さくらしべやさくらしべ、鬱金香。
ああどふか貴女の瞳の哀しみを癒しておくれ。
譬ひ球根百合根のその奥に毒持ちても、貴女の御心ならば歓び泣ひてその熱と毒に喰らひて溺れませふ。

然れば只今は。
どふか窓の先に置ひてくださひ。
庭の先に埋めて下さひ。
一つ望むなら貴女の手の中に。
その色に名前を。


ああ、ただ哀しき謌を詠はば、声清んで。
深く深く沈むだ窓の奥の貴女の聲かほりは暮れなづむ、西陽の照らせる影に浮かんでは窓深くに姿見のやふに撮してく。

だけども只今は哀しみよ
ああ無情に今日は。
鬱金香のにほいに花開け。まことに香しきは花か貴女か。

春の陽気浴びて。
一輪の心結を貴女に。
きつと。
2010/4/8(Thu)14:04
HP

☆凪
チューリップ咲いた
灼熱の砂漠に
オアシスを
見つけたよ…

渇ききった心に
咲いた…
チューリップの花…

僕の心に咲いた
オアシス…

いろんな色に
染め上げて
僕の心に彩りを
与えてくれる

灼熱の砂漠に
オアシスを
見つけたよ…

君という名の
花を見つけたよ…

君はチューリップの
花のようだね…

赤いチューリップ
君は…
色鮮やかに
僕の心に
飛び込んで来て…

白いチューリップ
君の…
優しい声に
僕の心は
満たされ癒されて…

黄色いチューリップ
君の…
可愛い笑顔は
僕の心に
元気や勇気を
与えてくれるんだ

灼熱の砂漠に
咲いた…
僕のオアシス…

君という名の…

チューリップ咲いた
2010/4/8(Thu)7:38
HP

☆、彩 愛 美
half shot
 
そのまま
押してしまう程の
勇気なんて無い
人目を気にして
こっそりと
構えるけれど
何時も
一歩手前の
ハーフで終わる

ちょっとだけ
指先に
力を入れるだけで
記録として
残せるのに
今一つの
勇気が足りなくて
一瞬のチャンスを
何時も
逃がしてしまう

移り行く
ピントの先で
何を本当に
残したいのかも
決められずに
ただ 無駄に
追い掛けて
後一歩を
踏み込めずに
ハーフのままで
シャッターを
切れないで居る
2010/4/8(Thu)0:55
HP

358356

掲示板に戻る