殘香〜yours〜

過去ログ547 2013/2/23 19:18

☆汐峪ゆう
乙女
勝ち気で美しい曾ての乙女は、時の流れに身を委ね、ついにはその手を離した。
ごく自然に、潔く、穏やかに。
淡黄色に包まれた皺だらけの皮膚も、白濁した眼球も、肥厚した爪も、より美しさを増している。
すべては過去から未来へ繋がっているのだ。
2013/2/23(Sat)19:18
HP

☆彩 愛 美D
冬  桜
 
遅い春を 待ち切れなくなって
想いを蕾に したためてみた
まだ少し早いとは 想ったけれど
あなたを想えば 春らしい

幾らかは昼間の 時も長くなって
晴れた日には 暖かさも感じられて来た

蕾んで来た 薄紅は花を望み
春を膨らませて 想いが弾ける
空を仰ぐように 花を翳して
今日が春だと 呼べるように


薄い春の陽が 見え隠れして
拳の蕾も 解されて行く
冷たい春の風も 夢の入り口
誰それ恋せば 春日和

和らぐ梢の爪 陽の芽を伸ばして
手付かずにした日記に 春を書き加えた

朧気に霞んだ 夜明けの夢の先に
確かに感じる 春を覗かせて
誰より一番に 春を届けに
逢いに来たよと 言えればいい


どんな春を夢見て居たの長い冬の眠りの中
溶け出して来た想いに草木も萌えて


春より春らしく感じる 春の兆し
不意に零れ出す 温もりの雫
待つよりも早く 迎えに出掛ける
花咲く春だと 告げるように


 
2013/2/22(Fri)23:40
HP

☆彩 愛 美D
サバイバル
  
恋は
何時も サバイバル
生き残るのは
難し過ぎて

有り余る
物質の世界でも
求める愛は
一つしか無くて
そこに辿り着けるのは
ただ一人だけで
あまりに過酷な
生存競争

恋は
高望みの サバイバル
釣り合いとか
バランスも見えない
理不尽な天秤の
分銅の一欠片
適合性なんて
解らないもの

周りから見ていても
滑稽なくらいに
似付かわしくない
組み合わせだったり
必死になって
もがく様は
まさに サバイバル

投げ込まれた
異世界の中での
ただ一人だけの勝者を賭けた
恋は 生存競争
  
  
2013/2/20(Wed)23:30
HP

☆でみたす
やさぐれ二十代半ば
禄なもんじゃない
生まれてこの方
周りはみんな偽りの顔で
愛想笑いばかり

だからか 自分も
そんな顔ばかり上手くなり
今じゃ誰にも心なんて開けない
馴れ合いなんてしてられない
理だけで動いてる

私がどこで何をしてようが
関係ないじゃないの

義? そんなもんは捨てた
この汚れた心を抱える
空虚な身体が残るだけ

結局 子供のまま置き去りにしてた自分
今さら取り戻せないだけ
甘い香りにぼだされても
すべて手遅れだ
2013/2/20(Wed)21:18
HP

☆たね遊歩
照明
あなたはゆっくりと
花紋あるせせらぎに向かう
盲目の明度です

黒い群は延び
焦操の弧線はゆらぐ
重い日暮れを背負う
灯らぬ街のロゴスを
もう哀しまないで

あなたの俯いた瞳
その宿命は夕陽のような
火に焼けた可憐です

つつましやかに
燃え出ようとする胸の焔は
空いちめんの夕焼けに似て
せつない青火
その翳りの沈め方を
あなたは学んでいるのです

覚悟を透かし
影を立たせた古時計を巻いて
眠れる獸のぬくもりを
たぎる血流のような空力を
もう残照に余すことなく

ほら
修羅の面が暮れるよ

昇るを映す
ポインセチアの火
向こうの月光は
ふくよかに輝く頬のように
2013/2/19(Tue)11:03
HP

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