殘香〜yours〜

過去ログ617 2014/12/17 23:40

☆彩 愛 美
脱力恋戯


彼女がしきりに 髪を掻き上げる
しなやかで 傷一つ無い綺麗な指
ごつごつとして節太な 私のとは大違いね
何時も何かしら 傷だらけの指

無い物ねだりをしても しょうがないけど
私には無い物ばかりを 持っている彼女
誰の目にも勝負は はっきりしていた

意地ばかり張って 意地気ていても仕方無い
もうこの恋の結末も 見えて来たのに


何事もがさつで 粗野な男勝りなら
細かい所までは 気付けないものね
癒しだとか 一番縁遠い所に身を置いて
恋人よりも 悪友みたいだった

ミステリアスな魅力など 欠片も無い
いいも悪いも何もかも 知り尽くしている仲
今更確かめ合う 必要も無い

愛せても恋せない なんて言われたなら
もうこの恋の進むべき 道なんて無い


ただ脱力感だけが 残された心に
頭打ちして 行き場を失くした恋慕情
ただ悪印象を刻むだけの これからの恋


空気の抜けたタイヤで 何処まで走れるの
もうこの恋の先行きを 探せはしない





2014/12/17(Wed)23:40
HP

☆彩 愛 美
人 図 鑑

人程
見ていて
飽きないものは無い

単純なようで
複雑なようで
理解不能で
思考の違いからか
行動の一部始終が
不可解極まり無い

見掛けの印象と
中身がまるで違う
一人きりの時と
集団の時とでは
反応も変わって
信念だなんて
簡単に歪められて
簡単に流されて行く

こうだって言える
定型が存在しない
図鑑なんてとても
作れやしない程に
千変万化する心が
ボカす本当の姿を
捕らえられ無くなる

星中を埋め尽くした
人が溢れ出した街中
個体差があり過ぎて
分類が出来なくなる
未完成のまま終わる
図鑑こそ人そのもの
なんだろうなってね


2014/12/15(Mon)23:24
HP

☆彩 愛 美
雑 風 景


鉛筆だけで描いた 風景画のように
何もしないで 放置していたら
何時かは薄くなって 消えてしまう

深く想いに 残そうとすれば
絵の具や色鉛筆で 定着させて
綺麗に保管を しなければ

ただそこに在るだけの 風景画は
何時かくしゃくしゃに なって汚れて
何が在ったのかさえ 解らなくなるもの


その辺に散らばっている 紙切れに描いて
またその辺に 放り投げたまま
どうでもいいなんて 訳でも無く

我を忘れて 無心に写した
ちびた安い鉛筆で 時間を掛けて
意味無くリアルに 線を入れ

何処にでも在るような 風景画が
そんなにも大事だった 訳じゃ無く
ただ何と無く その風景を探していた


もう想い出せない 何処の風景だったのか
何であんなにも一所懸命に 描いていたのか


ただそこに在るだけの 雑風景
想い出にする程の ものでも無いわ
何時かきっと忘れて 解らなくなるもの





2014/12/11(Thu)0:44
HP

☆彩 愛 美
偽りのライオン
過保護の集団
競争など無い
一見穏やかな
疑似生活空間

一位も居ない
ビリも居ない
全員が同着の
均一化社会国

王様も居ない
家来も居ない
リーダーなど
出来る訳無く

主役も居ない
脇役や悪役や
エキストラも
存在しなくて
見る気も無い
異様なドラマ
どちらが悪か
難解なる図式

力も無いのに
強い振りした
偽りの名前の
ライオン達が
産まれ溢れて
闘争心の無く
牙も爪も無く
この先自力で
どうやったら
生きられると
言うのだろう


2014/12/8(Mon)23:48
HP

☆彩 愛 美
無 人 島


ぽつぽつと 明かりが灯る頃に
また一人 帰り道を探した
帰れる場所なんて もう何処にも
在りは しなくなったのに

ネットカフェとか マンガ喫茶とか
何もしないで 時間だけを潰していた

この都会の中の 無人島の住人になって
全く違う人生を 最初から
歩き始めて みたくなる夜


どんなに 沢山居る人も
交わる事が 無ければ一人きり
触れ合う隣人など 何処にも無く
知らない 人達ばかり

眩しいくらいに 華やぐ場所に
何処か空しく 淋しい気持ちになるだけ

この複雑過ぎる 無人島の住人になって
行き止まりの人生を 最初から
やり直して みたくなる朝


答えなんて出せやしない今考えている以上に
想いは袋小路に捕まって動けなくなった


八方塞がりの 無人島の住人になって
一人きりの人生を 最初から
繰り返して居たいだけの街






2014/12/3(Wed)23:45
HP

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