殘香〜yours〜


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Name 福子

僕が詩を書かなくなった理由


僕は間違っていたのだろうか
言葉を綴って君を
怖がらせてしまった

僕は間違っていたのだろうか
ありったけの思いを君に
ぶつけてしまった

僕は間違っていたのだろうか
拒絶されてしまって僕は
怖くなってしまった
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Name 彩 愛 美

氷城の悪夢



氷の城が 姿を現す
氷の魔王が 雄叫びを上げて
この極寒の大地へ
世界中の代表を 呼び込む

世界中を覆う 寒気の嵐が
大地を 川を 人を
凍て着かせる

魔王の放つ蝙蝠が
言葉巧みに 世界中を欺き
自分の味方を 増やして行く

崇拝する 魔王像が
次々と 世界中に建ち並び
魔王の支配下に堕ち
世界中から光が消える

だけど 重ね過ぎた嘘は
何時か 綻び始める
やがて春の陽射しが
冬に閉ざされた 人々の心を
解き放つ日が 訪れるのだろう

何時か 春の陽射しを貯えた
光の勇者が この地に現れて
闇の蝋燭の 幻惑の悪夢から
人々を 目覚めさせるために
東の国から 魔王を倒す力を
示しに やって来るのだろう
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Name 彩 愛 美

このままでいいのかな



暗い街を一人 彷徨っていても
狭い部屋に二人 閉じ籠っていても
どちらも変わらない 同じ気分で居る

指の関節が 赤切れて痛む
冬の水は冷たくて 傷口に染みる

あなたを想いながら 灯した
アルコールランプに 和んでいる
立ち行くモカの薫りに 部屋が包まれる


同じ答えを 探し続けているのに
違う答えが 何時も返って来るだけ
どうにも絞まらない 結末を迎える

教科書のように 用意されていた
形だけの答えには 満足出来ない

これからを 探す占いの
バラバラになった カードの先に
何を見付ければいいのか 解らなくなるの


最初から 何も無かったのだから
最後まで 何も無く終わるだけよ


このままで 私いいのかな
行く先を 見失ったままでは
もう何処にも辿り着ける はずなんてないわ
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Name 彩 愛 美

十月座の恋人


雨に途切れる
会話の端々を
繋いで綴れば
新しい劇台本

冬に続く階段
立ち停まる足
振り向く先に
褪せた夏秋の
葉衣を散らす
古い想い出に
汚れた劇台本

違う誰かなど
求めたりとか
望んだりとか
心にも無くて
寧ろ只一人を
追うがゆえに
鈍い足取りで
名残階段渡る
秋日の劇台本

手を振るのは
過ぎ去った夏
これからの冬
決めるのは誰
人も疎らな席
まだ結末すら
未知数の明日
二人で描けば
誰も知らない
劇の幕が開く

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Name あすか

金魚鉢


まるい 大きな 金魚鉢がひとつ

アウトラインは曖昧で
どこからどこまでが わたしなの?

クリアな境界線
その内側へようこそ
あなたもあなたも
ひとかけらずつ 貰い受けるわね

外側には
まだ たくさん

かけらを集めて なににしよう
楽しみは尽きないの

なにがうまれるか
たまに のぞきにきてね
わたしの中へ
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Name 空汰
答えを出すプロセスを
左脳の海馬につめこみながら
オトナへと続く道を歩いてきた

次第にぼくは 避けていく
失敗 二の舞 回り道


知りえた格言の数をひけらかすより
感じえたしあわせを分かち合いたい

きみのことを思うと
自分でもわかるくらい
心は優しい色になるんだ
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Name 彩 愛 美

木 金 魚


<Font Size=1>

漂うように一つの空間の 歪んだ揺らぎの中
ただ時の流れを このまま停めたままで
現実とは違う世界に身を委ね 流れるように流れず
流れぬように流れて行く 心の葛藤に蝕まれ

このままずっと変わる事の無い この小さな水宇宙の中で
石化して行く心は 定まらないままに浮き沈み

僕の都合ばかり押辺て 君の事情も顧みず
一人で生き行く術も無い 囚われ人だと気付けずに


一房に群がる果実のように 一つ処に住み着いて
一時の安楽に そのまま落ちて行こう
目の前にある甘い物ばかり食べ尽くしたら その先へは進めない
仕切られた見えない壁 外の世界を夢見ていても

このまま少しづつ削られて行く 大木の欠片も何時の日にか
こんなに小さな物へと 姿を変えてしまうのだろう

瑠璃の水牢閉ざされて 歯痒い空を見上げているだけ
青の蒼さに染まるまでは 僕の心も晴れやしない


月の夜に 火照る想いも 水の中で 木彫りの 金魚になって
土に還る その日まで 夢見て 求めて 望む物は何


かぐや錦をこの身に纏い 月の鏡に映す想い
愛されたくて愛してみても 尽くせぬ愛は愛じゃない





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