
彩 愛 美
夢 桜
散り散りになる 旅立ちの日
それぞれの想い 胸に抱いて
西へ東へ 南へ北へと
夢の種を 飛ばして
希望と言う名の花の蕾 その胸の中で育てて
何時か錦花を咲かせたら 郷に帰ろうと想うけど
朝になれば 何処かに消える
儚い夢のように 風に舞う
散らせる花の哀れさに 木の葉を纏う春桜
咲くも散らすも実らない恋 その胸に深く
応えを詠めない 謳い人は
春の旋風に 彷徨っているばかり
何時か我が身の 全てを綴れる
その日を 夢見ている
明日が来れば浮かぶのだろう 新しい人と出逢って
知らずに居た言葉の数々 花を咲かせてくれるのだろう
何時になれば 辿り着けるのか
遠く果ての無い 旅路の先
ふらつく足の重たさに 木の葉を揺らす夢桜
往くも戻るも謳えない詩 口遊むように
もう幾度と無く繰り返す 同じ季節の夢を紡ぎ
何度散ってもまた咲かせたい 夢は何時の日にか花になる
春になれば 咲けるのだろうか
拙い夢の花でも 誇らしく
終え行く旅の淋しさに 木の葉を伸ばせば時桜
泣くも笑うも春霞に 夢桜が咲く