
彩 愛 美
消え行くアロマの中で
コスタリカの 香の中で
甘く切ない 夢が終わる
これがあなたの 淹れてくれる
最後のコーヒーに なるなんて
濾紙に残る 不純物のように
何ともし難い蟠りを 残したまま
ベストカップルとは 言わないまでも
ベストフレンドだと 想っていたけど
想う程に 愛を育てられなくて
カップの中で静かに 冷めて行く
お揃いの カップの中で
浮き沈みする 想い揺れて
切り出す言葉を 探すように
空に漂う 香り追い掛け
記憶と言う 不確かなメディアに
消え行く味の香りを 何処まで残せるの
希薄な空気感 消え行くアロマ
次第に劣化して行く 時を留めておけない
恋の揺るぎ抑える 術など無くて
微かな恋の望みを 探していた
残り少ない コーヒーと持ち時間
飲み干してしまう事を 惜しむようにして
ロスタイムの中で まだ出来る事
例え悪足掻きだとしても 探し続けていた
他に選ぶ道は もう無いのかと
消え行くアロマの中で 求めていた

彩 愛 美
持 続
好きで
始めた事が
嫌いになって
娯楽な想いを
妨げてしまう
妙な気分に陥る
飽きっぽいだなんて
よく言われるけれど
本当に三日坊主で
最初の勢いなんて
もう何処にも無い
最後まで
やり遂げようと
立てた決意も
尻窄みになる
比較的簡単に
誰にでも出来る事
始める事は容易くて
ただそれを
持続させるには
それなりの
努力と覚悟が要る
出来るから
やっているのじゃなく
好きだからこそ
続けている事
辛いと想える事は
あまりにも多過ぎて
投げ出したくなる日も
あるけれど
嫌いになりたくはないから
続けている事
人には解らなくても

彩 愛 美
惜 情
今度もしも街で 出逢う時には
きっと他人の 顔をしているのでしょう
それが可笑しくて 吹き出しそうになるけど
こんな時に笑うなんて 不謹慎かしら
悲しいよだなんて 口先だけの言葉は
今更必要なんかじゃないわ
心から抱き締めて 心から愛して
それも今はもう 叶わない事なの
せめて最後に もう一度温もりを
伝えるキスを 一つ下さい
未練染みた事を 言ってゴメンね
たぶんもう出逢う事なんて 無いのにね
まだ何処かで 繋がりを探している
どの顔して逢えるのよと 笑っちゃうけど
悲しかった事 自慢するみたいに
誰が同情なんか するもんか
最後まで泣くもんか 最後まで強がり
言葉にならない そんな涙声で
何を言っても 説得力も無い
知るもんかって 泣き出す程に
雨垂れのように 降り注ぐ涙が
目の前にある全てを 見えなくして行く
体ごと抱き止めて 心まで繋いで
これで最後だと 解らせるようにね
らしくない程に 丁寧に愛して
名残のキスで 忘れさせてよ

彩 愛 美
セッション
ひとかたまりの
かたよった思想
次第に視野界を
狭めて行くだけ
ひとりよがりの
狭い発想なんて
ただの自己満足
薄くなる達成感
ひとりきりでは
ちからだめしも
出来はしなくて
競う相手が居て
初めて力になる
相手が多い程に
引き出される力
増大するものは
自らのみならず
相手の力だって
成長して行ける
振り返れば知る
過去の自分の力
今に遠く及ばず
今から比べれば
笑える程の弱さ
ひとりきりでは
とてもここまで
来れなかった道
競い合う善き友
出逢えたために
辿り着けた今日
共に歩ける明日
友に感謝をして

彩 愛 美
purge
もういい加減 終わりにしようって
ぽつりと私から 呟いてみたの
雨の舗道にゾロ引く パンツみたいに
泥だらけの未練なんて もう要らないから
想えば二人の恋は あまりに幼過ぎて
喧嘩と仲直りを 何度も繰り返して来たけど
もうそれだって これ以上には
繕えない所まで 来てしまったから
ねぇ今度こそはきれいに 嫌いにさせてね
私の心が1mm だって 動かないように
北向きの窓にも 光は入る
この恋が何も 最後じゃない
少し立ち停まるだけで また新しい
違った恋を直ぐにでも 始められるから
元々二人の目指す道は 違い過ぎて
たまたま同じ道を何度か 歩いて来ただけだと
今頃になって 気付いたから
次の分岐点で さよならするの
ねぇあなたはあなたの道を そのまま歩いて
私は一人で私の道を 歩いて行くから
導き出された答えが 何時も一つだとは限らない
それぞれが求める 別々の答えがあったとしても
それはそれで仕方の無い お話しなのだから
ねぇそろそろ違う道を 選ぶ時が来るわ
二度とは戻れない道の先 目指して行くのなら

彩 愛 美
電池切れ
死ぬ事に
何の意味も無い
生きる事にこそ
意味がある
死ぬ事とは
ただ電池が切れるだけの話
交換可能ならば
そうすればいいのに
使い棄てるだなんて
何の意味があると言うの
ここに今
形として生まれて来て
動いている以上
存在を求められた
必需品なのだから
生かす事にしか
意味は存在しない
死なせる理由が
ただの電池切れだなんて
ただそれだけのために
新しい別の物を
求めようとする事に
何の意味があるのだろう
新しく電池を
交換するだけで
また生きて行けるのなら
そこにこそ意味が
生じるのだと
誰かがポツリと
呟いた

瑠璃
孤独〜瞑想〜
今
見ている現実は過去の漂流舟の中
此処に出る虚空もまた何時か見た幻影
探し求めていた光は微かな熱を帯び
私の睫毛を濡らすけれども
温もりまでに至らず今尚霊は流離う
明日の行く当てすら枯渇しており
氷山幾重にも連なる一角だけに囚われる
其処にも此処にも何処にも幾らでも
転がっている憂鬱に染まりながら
嗚呼
私の留まるるべき岩は何処に
只其処で瞑想を繰り返しながら
今日の孤独を綴りたいだけだというのに
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