
彩 愛 美
毒の意味
一言に毒と言っても
毒にもいろいろある
本当は毒でなくても
必要以上に食べれば
加毒物質に変化する
どれ程美味しくても
過ぎる事無く程々に
体の機能障害を招き
時には命まで危険に
曝すような毒薬でも
毒である事を知って
摂取分量を調整して
上手く利用をすれば
体の機能を回復する
良薬にだってなれる
そうでも無くたって
毒になってしまう物
毒であるはずなのに
そうでは無くなる物
全ては使い方一つで
如何様にも変化する
今その手にした物は
本当に薬だと言える
それとも毒なのかな
意味さえも知らずに
中身さえも解らずに
口に入れたりなんて
簡単にしないでよね

彩 愛 美
退 屈
正方形の部屋で 長方形の僕が
丸くなって 寝転んでいる
何にも無い 部屋の中で
鳴るはずも無い 携帯を抱いて
観覧車のように 同じ場所で
上へ下へと 回り続けている
正方形の部屋で 長方形の僕が
丸くなった 回想録
正方形の部屋で 長方形の僕が
三角形になって 座り込んでいる
お腹が空いた どうしようかな
このままじっと していようかな
おにぎりの中身は 鮭、梅、おかか
三者択一も 成らぬままに
正方形の部屋で 長方形の僕が
三角形になって 固まっている
話す言葉も 見つからなくて
もっとも話す相手も 居はしないけど
正方形の部屋で 長方形の僕が
大の字に成る 因果の果て

彩 愛 美
Interval Break
喫煙者だけが
小休止を
許されている
ガムやキャンディ
コーヒー愛好家には
その時間が
許されないのに
喫煙者だけが
仕事の手を止め
思考回路を止め
空白の時間帯へ
時代が変わり
嫌煙権だとか
健康被害だとか
叫ばれようとも
まるで喫煙を
推奨するかのように
優遇され続ける
行き詰まった想いを
立ち停まって
軌道修正する時間を
どうして喫煙者だけが
許されているのだろう
一度スイッチを切って
再挑戦して前進する
誰にでも同じように
与えられる
権利のはずなのにね

龍桜雪菜
繰り返す
苦しくて 切なくて
どうしたらいいのか
解らなくて……
何故
問い掛けは淡く
何故
疑問は儚く
何故
戸惑いを残し
消えていく
大切ならば
その腕に閉じ込め
愛しいのならば
奪い取れば良い
優柔不断な優しさで
傷だけを背負わせて
そんなものは
不幸の連鎖
苦しめないで
これ以上
悲しませないで
これ以上
繰り返す宿命
そんなものは
必要ないから

彩 愛 美
道具にはならないわ
君はあまりに"女"だと あなたが唐突に言う
もう僕には 着いて行けないよと
なんてあなたは 悲しい声
別に君を嫌いに なった訳じゃない
今の僕には重過ぎて 君を支えられない
求めらていたのは 愛じゃ無かった
ただ形だけの その場限りの女
上手く演じられれば 良かったのに
だってそんな事 解る訳無いでしょ
幾ら付き合っているからと 見え見えの行動とか
逆に余所余所しく 避けるのは
立場的にも 困るだなんて
別の誰かには 認めてもらえない恋
何時も隠れてコソコソと 私はあなたの何?
体だけじゃなく 心も愛して
ただあなただけが 満たされて行くのなら
それを愛だなんて 呼べはしないのよ
あなたの道具に なった覚えは無いわ
あまり馬鹿にしないでよ 私にだって
通したい言い分が 山程あるのよ
ただ黙って言う事 聴いているだけの
ただのマネキンが 欲しいと言うのなら
初めから愛なんて 存在しないわ
そんな関係ならこちらから 願い下げよ

休齋
和歌
。
雨に来し
頬に緋け点す
紅の
君肌癒す
心抱く傘
あめにきし
ほほにあけさす
くれなひの
きみはだいやす
こころだくかさ
星紋の神極第9話「雨に来し」より
。

彩 愛 美
異心伝心
生きている限り
生きている証を
誰かに伝えたい
誰もが想うこと
解り合えない…
違う想いを抱き
対面する時には
どれだけのこと
伝えられるって
言うのだろうか
生きて来た時間
場所が違うから
思想構造だって
全く異世界人で
何を考えてるか
到底理解出来ず
それでもそれを
どう伝えたなら
ちゃんと解って
くれるのかって
必死にもがいた
言の葉だけでは
伝え足りなくて
身振り手振りで
更に伝えようと
試み挑んでみる
それだからこそ
伝わったことに
解り合うことに
価値が生まれる
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