月いろの手紙 置き詩版

過去ログ312 2018/9/7 23:47

●玖妙夢堂
超悦〜platonic〜
 
觸れられぬから尚更に
膨らむ想ひを言葉にし
其の首筋に觸るゝほど
近くて遠い接吻にする

甘味に微笑んでゐる君
見詰めるもまた趣向か
伯拉多の答へは如何に


屆きさうだから尚更に
膨らむ切なさ夢見ては
其の胸先に屆かんほど
近くて遠い愛撫にする

壽司に舌鼓してゐる君
見詰めるもまた酒肴か
伯拉多の答へは如何に
 
2018/9/7 23:47
HP

●玖妙夢堂
秋暑〜buried〜
 
暦上では秋といふ
まだ汗ばむ午後に
改まって鰻を戴く

平成最後のなどと
枕詞が付くだけで
何處か寂しくまた
名殘惜しい時間に
感じられる不思議
少しお疲れの表情


只管にと溢れさす
その艶づく部分に
埋まって愛を囁く

最近不調だなどと
言葉を吐くたびに
何處か寂しくまた
名殘惜しい時間に
感じられる不思議
暮れる街には涼風
 
2018/8/17 23:53
HP

●玖妙夢堂
海邊〜circulation〜
 
 海から生れ
 海へと還る
 太陽の樣に

 波から生れ
 波へと還る
 生命の樣に

 輝くものも
 霞むものも
 時を刻んで
 音だけ殘す


 濱から生れ
 濱へと還る
 記憶の樣に

 夏から生れ
 夏へと還る
 靜寂の樣に

 搜しものも
 忘れものも
 熱に妬けて
 痕だけ殘す
 
2018/7/26 4:08
HP

●玖妙夢堂
朧氣〜fuzzy〜
 
其の時、空と海とは
繋がって青に滿ちる

明確が常に正解だと
一體誰が決めたのか

曖昧に目を凝らす君
曖昧に目を逸らして

挫けさうになる炎天


其の時、空と海とは
繋がって青に溶ける

澄渡る物が相對だと
一體誰に映ったのか

曖昧に氣を紛らす君
曖昧に氣を盡くして

倒れさうになる炎天
 
2018/7/16 18:12
HP

●玖妙夢堂
豪雨〜iron〜
 
不通の路線が記憶を深くする
何物にも沈まず洗ひ流せない
此れまでも此處からの季節も

自然の惡戲が濃密を長くする
幾重にも絡まる熱に溺れては
果てるのが口惜しくて引摺る

肉類と魚類が酒席を旨くする
尚更にと添へた音に躍りつつ
懷かしさに鼻歌してる今宵か

運命と偶然が後味を甘くする
距離さへ隔てど想ひ繋がると
激しくなる雨足よりも強靭に
 
2018/7/9 4:52
HP

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