月いろの手紙 置き詩版

過去ログ311 2018/6/23 2:46

●玖妙夢堂
齡鏡〜possibility〜
 
 然うして何時か
 出來得ることが
 少しづつ増えて
 齡と呼ばれても
 怖けづく内面は
 子供の頃のまゝ
 愛しさの造形を
 味はふ梅雨の夜

 然うして何時か
 出來得ぬことが
 少しづつ増えて
 齡と呼ばれても
 抗はんと藻掻く
 子供の頃のまゝ
 愛しさの片鱗を
 竝べる梅雨の夜
 
2018/6/23 2:46
HP

●玖妙夢堂
空華〜weave〜
 
不思議に思へるかも知れない
けれども其れで癒されてゐて
瞳見つめる度、聲を聽く程に
充たされてゆく左腦が微笑む
恨むより羨むよりも直向きに
是迄と今の景色を紡いだ先に
新しい季節は訪れる筈だから

眞面目に見えぬかも知れない
けれども其れも愛しさゆゑで
躰合はせる度、熱を注ぐ程に
充たされてゆく右腦が波打つ
怯むより惑ふよりも直向きに
是迄と今の相互を認めた先に
嬉しい季節は訪れる筈だから
 
2018/5/26 0:57
HP

●玖妙夢堂
惜春〜fri-sky〜
 
舞ふ季節の短きを
惜しむやうに密會
週末の午後の空が
青過ぎて恐縮する

何處まで繋がろう

手を取り誘惑する
潮風の戰ぐ交差點


照る季節の近きを
避けるやうに密室
吐息と薄紅の肌が
甘過ぎて泥醉する

何處まで溶かさう

手を振り見返せば
街中を包む蜜柑色
 
2018/5/19 1:06
HP

●玖妙夢堂
春蟹〜crab〜
 
蟹を食らふ、手は休めずに
蟹を食らふ、殼を積みつゝ
蟹を食らふ、此れが至福と
緩やかに過ぐ午後を味はふ
言葉と視線が微醉ひに溶け
巡りし春の新たな香を知る

湯に浸かる、手は休めずに
湯に浸かる、肌に觸れつゝ
湯に浸かる、此れが至福と
緩やかに過ぐ午後を味はふ
映畫と配慮が微睡みに溶け
巡りし春の新たな香を知る
 
2018/4/21 19:37
HP

●玖妙夢堂
春巡〜into your hem〜
 
文字にしなければ傳はらない
想ひは姿を持ってゐないから
僅か數行を綴る事が出來ずに
遙か未來を語れると言ふのか
夕暮れの酒に巡る欲求が叫ぶ
もっと此の眼に君を刻みたい
ずっと其の肌に熱を刻みたい

言葉にしなければ傳はらない
想ひは升で測れやしなひから
僅か數分を遣ふ事が出來ずに
遙か未來を誓へると言ふのか
春近しと街に巡る煩惱が甦る
もっと此の胸に君を刻みたい
ずっと其の躰に愛を刻みたい
 
2018/3/10 1:02
HP

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