哀切

過去ログ96 2013/9/28 15:29

◆伊達政宗
別れも出逢いも、結局刹那的なもんだ。その時々が終わりゃ素知らぬ面してまた希求するもんを探しにいく。最高で最悪になった九月も、もう終わりが近い。
そのさっさと移り変わっちまう一瞬に置いてかれた間抜けは、どうなるんだろうな。

二度目だからか知らねえが比較的落ち着くのも早かった。奇跡なんじゃねえか、なんざ馬鹿げた事を思ったのも今じゃ夢だったんだろ、で片が着いた。
But,文を整理して、お前の香の残骸が出てきやがった。ついてねえにも程があるだろ。蝉の声も少なくなった、香りは部屋にゃしねえ。その中で一人、首を飾る月を眺めて眠る。

正解だ、馬鹿野郎。お前は俺と離れて正解だった。こんなに面倒くせえ男に縛られるなんざ、俺だって遠慮する。
次は間違うなよ。お前は幸せになれ。その世界に俺が居なかろうが、三日月が失せようが、お前は前を向けば良い。

◆長曾我部元親
あんたの気持ちは相も変わらず、だろ?
一度振られた身、其れでも諦め悪いのが性分でな。
幾夜か体を繋げて愉しんだ日々も数々あるが…本音言えばあんたの心が欲しい、奪って閉じ込めて他者の目に触れさせなくねぇんだよ。あんたはそろそろ此の界隈から去り、俺を忘れるだろうよ…其の前に言葉の鎖で繋いで逃がしやしねぇー…卑怯と言われようが、もう一度気持ちを告げてやんよ。
拒みたかったら拒めよ、あんたから嫌われねぇ限り何処までも追ってやる。

はっ、報われねぇ恋心だと笑いたきゃ笑えや。
嗜好が此れ程合う野郎に出逢えねぇよ…あんたが誰より一番解ってくれると心算してんだ。
なぁ、独眼竜の姫さんよ…そろそろ覚悟決めろ、俺の腕に堕ちちまいな。

愛してるぜ……独眼竜。

◆猿飛佐助
上手くいく筈が無いなんて分かってたじゃない、ずっとずっと前から…出会った時から…。俺はそういう人間なんだなと、もう諦めるしかないんだ…

結局、ほんの少しの期間しか味わえなかった本当の幸せ。
初めてだったなぁ、あんなにどきどきしたの…声を聴くだけで会うだけで匂いを嗅ぐだけで…俺の全部をかっさらっちまう、愛しいアンタ…でももうそんな事言っちゃあいけないんだね。アンタとはうまくいくと、上手くやっていこうと思ったのに…思ったのに…嗚呼、自分が嫌いだ。
もっと、ちゃんと、愛したかったよ…アンタの全部、受け入れてあげたかった…最低な俺は沼底に沈んで窒息すればいい…
ごめん、ごめんよ…謝る言葉しか紡げない自分にもまた一つ自己嫌悪。
離れたくないなんて思っても、もう遅いんだ…火蓋は切られている…秒刻みで崩れていく数カ月の思い出、温かさ…全て虚像に変わっちゃうんだ。
思い出にもなってくれないんだね、頭の片隅の少しの思考にも出る事は許されない…静かに、消えていく…煙のように……あっははは!お似合いかぁっ!
当然の報いだと、分かっているんだ。

ああもう、泣くな。
あの人が愛したこの涙はもういらないんだ、出るな、枯れろ…そうすれば俺は俺じゃ無くなる…早く俺を失ってしまいたい、トんで全部忘れたい。
……もう、人を愛するのはいい加減疲れましたよ…__。
残せる唯一の言葉は「さようなら」…もう、目の前には別れしか落ちていない。