殘香〜yours〜

過去ログ576 2013/8/9 0:20

☆sion
伏流水。
(水かさは増すばかり。)

嘗て
王国があったとか
そんな話を
あなたの中耳に
棲みついている
遠浅の潮音が
夜毎
瞼の上の白い渚に
刻みつけようとするのだけれど
水分を含んで
重たくなった夏服を
わたし
いまだ脱げないでいる

(水の中へ手をのばす。)

皮膚のかわりに
水色の
うすい膜が
身体の表面を覆っている
寝返りをうつたびに
喫水線を越える
夢水

(あおい夢をみている。)

指さき
から
指さき

手わたされる
ように
あなたの伏流水が
わたしの中へ


水を抱く
そうして
水の名まえを
失くしてしまう
2013/8/9(Fri)0:20
HP

☆彩 愛 美D
宝の無い地図
  
日々の生活は
特別 コレと言った
イベントも無くて
ただ ただ
退屈と言う 積み木を
上へ 上へと
重ねて行くだけの 毎日

平々 凡々と
時間の サイコロを
コロがして
それ以上に出ない
目の数を 追い掛けて
夢ばかりを
見ていた

どんなに
貴重な地図を
手に入れても
そこにはもう
宝なんて無くて
引き返す道は
消えてしまった
宝とは
ここに辿り着くまでの
道 そのものであって
形としての宝は
何処にも 無かった

それでも
何かしらの宝を求めて
地図の示す場所を
探して 歩いて来た
たぶんそれは これからも
ずっと 変わらないのだろう
  
  
2013/8/7(Wed)23:46
HP

☆長野
暑い夏になりまして
葉桜から生まれた
緑陰が美しい季節です

蝉も五月蝿い程に
鳴いておりまして
先日、燕の雛も
無事に巣立ちしました

わたし達、人間は
彼らに比べ
暑さには弱いはずですが

どうしようもなく馬鹿でして
何故、暑いのにさらに暑苦しく
二人、身体を結びつけて
荒い息を吐いているのでしょう

やはり夏は
団扇を扇ぎ
風鈴など風流にならし
涼やかに過ごしていたいものですが

わたしの夏は
やはりこの様に
暑いものなのかもしれません
2013/8/7(Wed)18:25
HP

☆彩 愛 美D
ファミレス
 
アフターティーの後の
ラストオーダーも終わって
閉店時間を
やたら気にしているホール係

ただ一人だけで席を占領して
漠然とした時間を過ごして
たいした利益にも繋がらない最悪の客

そんな風にしてもあなたを待ち続けた
もう二度と逢えない人と解っていても


今時24時間の
営業時間でも無い
街中みたいに
客足の速い店でも無くて

淋しさを何処かで忘れようとして
人が集まる場所を選んで
開店から閉店時間までオーダーを繋いだ

あなたが好きだったこの店のメニュー並べ
もう二度とは届かない想い並べて


ファミリーレスな私が家族を作りたいと
唯一あなたに想いを預けたけれど


大事な家族をまた失くしてしまったのね
それを認めたくはなくてここに居るけど


 
2013/8/6(Tue)0:16
HP

☆でみたす
爆華の洗礼この者に
熱き血を
ほとばしらせて彼は往く
不毛な謗りを受け乍ら
それを流す気概を持つ

託された大切な想いを
この手で遂げて見せると
枯れた大地で誓う
悲しい時間を焼き尽くして
その炎を、己の心にも点火する
爆華の洗礼、この者に
2013/8/5(Mon)17:27
HP

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