殘香〜yours〜

過去ログ610 2014/9/15 9:54

☆彩 愛 美
秋 月

夏の終わりを
告げるようにして
無造作に伸び過ぎた
道端の雑草がきれいに
刈り取られて

今まで見えなくて
歩けなかった地面が
顔を覗かせている
その道を久し振りに
歩いてみる

雲も 風も
夏色を失くして
着実に秋へと
姿を変えて
過ぎ去ったものになど
振り返り想い返す
事も無いままに

澄み渡る空には
白い月が浮かび
名月の残像を
なぞるようにして
軌線を描いて行く

こんな風にして
月を見上げているのは
秋のせいなのだろうか
何時もよりも
大きく見える月に
時を忘れて
足を止めていた


2014/9/15(Mon)9:54
HP

☆彩 愛 美
夜を奏でて


夜の折り紙 綴るページに
金の竪琴 月の音符並べて
夜を奏でて行く 二人のメロディーに
甘く溶け出して行く バニラビーンズ

空気に震える程に 静かな調べ
吐息や鼓動が リズムを刻む

初めてのノクターン ユニゾンして
リハーサルも無しに シンクロする
シンパシー深く 抱き締めて


流星が描く 五線譜に
二人の記念日 夜の星座並べて
指が憶えている 二人のメロディーに
夜の言葉弾ける ポップコーン

唄うように軽やかに 流れる調べ
時間や空気が 静かに止まる

初めてのノクターン 目を閉じても
耳を澄ましたら 伝わる想い
この胸の中に 響き渡る


まるで夢を見ているような快さで
唄う想いが一つに交わって行く夜


初めてのノクターン 言葉よりも
優しく流れる メロディーライン
緩やかな夜の 空気染めて




2014/9/13(Sat)0:01
HP

☆彩 愛 美
折り畳み傘

何時も
鞄の隅に
押しやられながらも
持ち歩いている
小さな
折り畳み傘

不意に
雨が降った時にはと
用心のために
持ち歩いている
小さな
折り畳み傘

いざ
雨が降り出したとしても
頭ぐらいしか
守れなくて
服も 荷物も
みんな
びしょ濡れになる

雨が酷くなれば
唯一守られていた
頭だって
濡れてしまう程
役に立たない
小さな
折り畳み傘

役に立ちそうでも
何の役にも立たない
そんな今の自分に
一番似合っていた



2014/9/11(Thu)0:28
HP

☆彩 愛 美
夜のサーガ

何万回と名前を 書き綴ったのだろう
何冊のノートを 何ダースの鉛筆を
何年分の想いを 費やしてまで

それだけで気持ち 届く訳じゃない
ちゃんと言葉や形に 出来なければ

一人きりで居る事 片想いを楽しんでいる
そんな訳なんて 無いじゃないの
叶う事ならば あなたと二人で歩きたい


ストリングスの 千切れそうな音に掠れて
夜の静けさでも 聴き取れない程の声
成し得ない恋 想い描けない夢

膨らまない 穴の空いた風船
どんな想いを 吹き込んでみてもね

胸を押さえ痛みを 噛み締めて夜明けを待った
寒さ凌ぐ コーヒーの苦さに
ただ笑うように 涙を流しただけよ


消えそうなキャンドルを 風から守った手
伝わる微かな暖かさに 和んだ夜


一人きりで居る事 良くないのは解っている
だからと言って 行く宛など無く
夢に隠れている あなたの笑顔探していた



2014/9/4(Thu)0:05
HP

☆彩 愛 美
理 由

ここに来れないのが
忙しいからって
そんなのは
理由にはならない

だって
忙しいのは
あなた一人だけじゃない

私だって
睡眠時間を削ってでも
ここに来て居るのに

男だから 女だから
一人だから 仲間が居るから
その他 もろもろ
でも
そんな事 何一つ
理由にはならない

想う気持ちが
本当にあるのなら
何があっても
ここに来れるはずと
何度も約束して
待って居るけれど

ただ 忙しいとだけ
他に何も言わずに
その一点張りで
強く言うけれど
そんな事
理由にはならない


2014/8/31(Sun)23:46
HP

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