殘香〜yours〜

過去ログ622 2015/3/18 23:25

☆彩 愛 美
八 重 桜


想いを綴った 記録台帳も
もうこんなに 厚くなったのに
残りの余白も 後少しで終わる
それだけ想いを 積み重ねて来た

卒業を間近に控えて 蕾む想いは
八重に花咲く 新しい旅立ちへの夢

これを機に 新しくなる毎日を
残して行く 真新しい台帳の
まだ貼られていない 最初の一枚を
八重に咲かせる 日も近い


切り貼りにされた 想い出の数々
前後左右 入れ替わって行く
記憶と記録の 温度差を感じる
時々振り向き 確かめて来た

結末を飾るに 相応しい一枚を探す
明日に花咲く 気〆の言葉に代えて

今が期と 熱くなる胸の想いを
深く刻む 絵時計に映し出す
これまでに歩いた道と これからの道
八重に咲かせて 木も漫ろ


千代に八千代に 繋ぐ想い花
ここで終わってもまた ここから始まる花物語


次の気を 互いに刻む徒然は
語り明かすも 楽しみだと言うもの
どう貼り付けるのか 夢見る一時に
八重に咲き立つ 春日へと





2015/3/18(Wed)23:25
HP

☆彩 愛 美
子宮外知的生命体

広い宇宙の中の 狭い宇宙の中に
引き籠っていても
誰かに逢える訳も無い事など
解ってはいても

自分の子宮から 生まれて来たものが
唯一の知的生命体だと
言う訳でもあるまいに
単一生殖機能だなんて
持ち合わせしても無く

子宮を持つ自分達だけが
特別に選ばれた種族だと
言い切れる自信など無く
種蒔く異種生命体の存在
否定なんて出来はしない

でもだったらどうして
今居るこの宇宙以外に
知的生命体が居ないと
断言出来るのだろうか
自分を生み出したのが
単細胞種だったにせよ
そこから自分の子宮が
創り出されただなんて
想えはしないのだから
別の子宮の存在だって
創り出せる違う宇宙も
必ず何処かに存在して
違う知的生命体もまた
生まれて来るのだろう


2015/3/15(Sun)23:04
HP

☆彩 愛 美
新 地


城下町の静かな佇まいを歩いた
慣れない砂利道に ヒールを取られながら
自分の力量以上に 無理に背伸びをして
倒れそうになる 自分の今の姿に似ていた

何かを求めて この旅に出てはみたけど
それが何かも 解らないままに

旅の中で触れ合う 人達の心の暖もり
都会の慌ただしさに 忘れて行く優しさ
自分にゆとりが 持てなくて
何もかもが 見えなくなっていた頃よ


日に何本しか無いような 単線の無人駅
小さいながらも 賑わい見せる目抜通り
大き過ぎる夢を見ていて 無駄に疲れていた
それが何となく 解り始めたと想えて来た

この町でしばらく 過ごしてみようと想う
自分サイズの 夢を掴むまで

旅を止めてしばらく この町で生活してみる
人気とか流行りとかに 流される事の無い
日々の生活に 根付いている
在り来たりの 何処にでもある風になる


つまらない見栄だとか 意味の無い意地だとか
ただ自分を無駄に 疲れさせるだけ


今はここで暮らして 本当の気持ち確かめて
嘘偽りの無い 笑顔に戻れる時まで
私に帰れる 部屋なんて
無いつもりで 生きてみたくなっただけよ





2015/3/12(Thu)5:56
HP

☆彩 愛 美
殺人街の善意

ここは 殺人街
犯罪なんて
日常茶飯事
人が人である事を
忘れた街

もはや ここには
人の心なんて
一つ足りとも
残っていないと
想われていた

誰もが 近付かない
隔離された街
全く人の出入りが
無い街でも無い街

そんな街で
一人の男が
小さな命を 救った
何処の誰だかも解らない
何の縁も無い命
何を想い この命を
救ったのだろう

取るに足らないような
たった一つの
小さな善意
この街の中で
初めて歩き出した
大きな善意への一歩
暑い暗雲から射し込む
一筋の希望の
光だった


2015/3/9(Mon)23:08
HP

☆彩 愛 美
こぼしたコーヒー
いろいろとひろげて
散乱したテーブルに
ふと手をすべらせて
一口と付けていない
コーヒーをこぼした

大切な書類やノート
本もリモコンも全て
コーヒーの海の中に
沈んで染まって行く
あっと言う間の事に
為す術も無いままに
時は無情に過ぎ去る

急ぎ拭き取らないと
いけないはずなのに
暫く見て居るだけで
体が動こうとしない
金縛りが解けた風に
ティッシュを探して
拭き取ってみるけど
既に手遅れの後始末
消せない跡を眺めて
落ち込んだりもする

近くにコーヒーとか
置くのが悪かったか
見もせずにカップを
取ったのが悪いのか
元に戻せない状況に
後悔してもし切れぬ
事実だけを残して今

2015/3/1(Sun)23:29
HP

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