哀切

過去ログ103 2014/2/2 0:32

◆石田三成
あのような日々を美化するな。私という存在を貴様の記憶から忘却しろ。そうだ、何もかもを消してみせろ。
過去を振り返らずに一歩踏み出せば、あとは時間が癒してくれる。私の中の執着心は既に消え失せた。あとは貴様だけだ。
…いや、こんな風に筆を取っている時点でそうではないのかもしれない…。だが、それでも良い。もう考える事はやめた。この思考は奴の為に使いたい。

もう、あんなにも辛かった日々を思い出したくはない…私も悪かったと理解しているが、諍いばかりの日々は思い出したくなどない…。貴様の好いていた私も、私が好いていた貴様も、もうこの世には居ない。それだけだ。

◆松永久秀
不意の折に弱い己が目覚めては深愛冷めやらず未だ彼の日々を思い出す。一進の意欲は湧かず一退の勇気は無い。言葉違わず唯一無二の卿よ、今も昔も私は思いを伝えるのが苦手なままだ。笑うかね、呆れるかね、古傷を抉るだろうか、それとも何も感じぬかね。卿がどう思おうと思わぬとも活用の仕様もない我楽多の思いを私は捨てる事ができない。どうか許してくれたまえ。ただあの穏やかな日々が心に痛い。

◆長曾我部元親
あいつは筆も取れねえみてえだから、俺が。
…お前なんだろ。なあ、何に惑わされちまった?海の外から多忙の一言送りつけて、突然消えたことを咎められてるならまだしも…どういうことだ?他人のお蔭さまでこんな俺が底もねえ程嫌われて、お前の腹ん中から消えられるんならいいことなんだろう。って、納得するしかねえ、な。
俺はお前以外を相手にする気はねえって散々伝えてたつもりだったがそれだけじゃ足りなかったんだな。今までありがとうよ、拘束して本当に悪かった。…これで仕舞いにしよう。俺もあいつも幸せだったぜ、姫さん。最後まで恰好つかねえ野郎で悪かった。

◆伊達政宗
偶然がこんなに恐ろしい事だと思ったのは初めてだ。まあ仕方ねえか、時期が時期だ。責める言葉も言い訳も、何一つ聞かせちゃ貰えねえ…ともなれば、恨み言や嫌味の一つも吐き捨てたくなるものさ。最期の最後迄、嗤っちまう程に残酷な野郎だぜ。
I would like you to understand that I am not angry. But I am really sad.
もう二度と出逢う事ァ無えだろうぜ。出逢った処で素知らぬ振りだ、関わりはしねえから御幸せにな。