哀切

過去ログ12 2010/10/25 7:24

◆徳川家康
意味もなく、つれぇってのはこういう事か?
朝も昼も夜も、考えるのは自分の不甲斐なさばかりだ。
いっそこの絆を手放せば、何か変わるんだろうか。
い、いや駄目だ!それだけは!!

……ではどうする。あの日から何も変わらぬワシは、何故今も同じように生きてるんだ。

こんな事ならあの日…そのまま……嗚呼、誰か、助けて、くれ…。

◆猿飛佐助
手で、こう……ぎゅっとやりてぇ。この空いた手でぎゅっと。手が収まり所を忘れたみてぇだ。その暖かさを感じてぇ。顔を埋めて頬を擦り寄せて、匂いに包まれてぇ。
無性にそう思った……けど堪えた。それじゃ意味がねぇんだ。
今自分がやってること実はとんでもなく馬鹿なことなんじゃねぇのかと思った。伸ばせば届く距離にいて、望めば叶うのに何でそれをしねえんだろう。
だけどそれじゃ駄目なんだ。この距離が本物かどうか疑ってるから。そんな内はまだ駄目だ。
こうしてる内に幻さえ失っちまいそうで怖ぇ、けどな……。
本当はすごくお前が愛しい。……淋しい。

◆松永久秀
若い衆は信じるという言葉が随分と好むようだな。
しかし誰もが所詮人…、その身の奥に宿すは賢しき知性を模る抜け目無い蛇だろう。
さて、おおよそ私には似つかわしくないが、如何すれば卿を信じることが出来るのだろうね。
卿の姿をした輩に…吁、愚かしいな、妬くなどと。
その影を捕らえることさえも私には出来ぬのだ。

愛しい君、私の情は酷く歪んでいるが、…それでも卿を。

◆大谷吉継
やはり…以前のように振る舞うことは出来ぬか。
われが想うだけでは当然よな、ぬしの心はわれを既に見ておらぬゆえ……いくら待てども、何度床へ伏せ日を改めようと…ぬしはわれのもとへは参らぬであろ。
やれ悲しきことよ…われは後悔を抱き、今宵も独り眠ろうぞ。

◆真田幸村
某には今大切な方がおります故、貴殿から贈られた労りと慈愛に満ちた恋文に返事は致しませぬ。
ただ今日一日、かつて焦がれたあの熱さに浸る事は赦して下され。


…__殿、誰よりも貴殿を愛しておりました。

◆猿飛佐助
やっぱりあんたは俺様の前から消えるね。

でもあんたはその方がいい、何かに搦め捕られたあんたより。

影も見えねえように、早くいなくなってよ。
そうしなくちゃあ、気が狂いそうだ。