哀切

過去ログ24 2011/1/11 3:12

◆猿飛佐助
俺様は忍、誰かに仕えるもの。その誰かがいなくちゃ、俺様は何ものにもなれねぇのよ。アンタに出会った時、決まったことだった。

アンタの優しさや、我が儘も、全部ひっくるめて、影の中を生きた俺様には眩しすぎた。だから手探りになって、次いでその光に照らされた己が己を見つけられなくなっちまった。
俺様がアンタを求めても、いや、求めることもしなかった。求められなかった。
…俺よりもか弱いその心臓へ甘えることは出来ない、出来る訳無いじゃないの。…アンタは俺様の主、主であり俺様の大事な人だったからこそ。守りたい。
悲しませたくない、俺様なんかで悩ませなかない涙を流させたくない。自分が恨めしい。何故自分はこんなに影で汚れちまってるんだってな。
触れられない。
そうしていたらアンタが待っていた人が帰ってきて、俺様は用済みみたいなもんになった。だから他の相手と夜な夜な遊んだりもした、寂しさを紛らわす女の気持ちが判ったぜ。そんな中俺様を引き止めるアンタの俺様を呼びかける声。

他に恋しい人が出来た今…でもまだ、アンタの声が俺様に届く、…判らなくなった、自分がな。だから、もう少し待ってて頂戴よ。

幾ら考えれば、俺様は自分を見つけられるのかね。ねぇ、旦那、…手を取って欲しい。引っ張って頂戴よ、俺様が俺様だと云う証をくれ。

◆毛利元就
西海の鬼の代理で
あ奴の心情を綴る。

時は残酷に我らを引き離す気がする。

そなたは我の闇を
聞いても何一つ動じなかったな。

礼を言うべきであろうが我は不安なのだ。
…そう口に出来たのならばどんなに楽であろうかと。
今宵また返事を
返せなかった。


…厭ならばこの絆、断ち切ってくれてかまわぬ。

もう少し、なのだからと。


そうであろう、独眼竜よ。

◆石田三成
…好きだ。逢いたい。
……貴様の所為で気が触れそうだというのに。…せめて、声が聞きたい。

私は…、…私は、何故…こんなにも愚かなんだろうな。勝手が過ぎる。解って居るのに、…_しいと口走る私を…貴様――、‥否、御前は…笑ってくれるだろうか…。

………好きなんだ。

◆毛利元就
──是を皮肉か運命の悪戯かと謂う以外何と云えば良いのか…我と貴様の間には聊か障害が有り過ぎた様だ。

此の感情は怒りか悲しみか…真に罪な鬼よ。我を恋狂わせた挙げ句、此の様に見捨て置くとはな…

貴様を想う度、我の胸は未だ抉るかに痛み─…


左様ならは云わぬ。
何時か貴様も過ちに気付き我の元へ戻る事であろう。その時迄…

今は唯…涙に貴様を待とう、愛している…我が最愛の鬼よ…。

◆石田三成
唐突に去った貴様。
私が何かしたのか、それすらもわからない。
戸惑いと虚無感に舌打ちしたくなる。
そう思う程に、私は愉しんで居たのだな。

愉しませてくれた日々に感謝を。
もし、万が一何かしらの形で私の前に現れたその時は斬滅してくれる。

◆猿飛佐助
さぁて、こっからは忍の時間ですよっと。
今頃眠ってるアンタに送るよ。


俺様は案外、冷めてるようだけど嫉妬深いんだって知ってる?

アンタが俺よりも誰かを優先したとき、俺じゃない人と楽しそうにしてるとき、距離があるだけ心配なんだよ、いつか離れていくんじゃないかって。


信じてないわけじゃない。
でも、不安になる。


アンタが離れてくんじゃないかって、俺の気持ちが耐え兼ねて、消沈しちまうんじゃないかって、いつも怖い。


俺様が大事なら、アンタへの気持ちが消えてしまう前に、その両手で包みこんでよ。


俺様からアンタへ、
最初で最後の言葉だよ。