哀切

過去ログ32 2011/3/8 12:30

◆真田幸村
行き場の無き寂しい想いを昇華すべく初めて参上致しました。


貴殿が居る事が当然で当たり前であった日常。甘え過ぎてその大切さに気付く事はありませんでした。昨夜まで。
今更何を申しても変わらぬのですが、だらだらとただ過ぎる日々に甘え展望を特に望まぬままにいた某ですから、斯様な結末を迎えた事は致し方の無きことと思うております。

しかし今はただ寂しく悲しい。
時が早く過ぎこの想いが落ち着きますように。
貴殿を思わせるこれからの季節には正直難しいですが。某の為にも、貴殿の為にも…成してみせましょう。


そして申し上げ難い事を言わせてしまった事、深くお詫び致します。
どうか貴殿は貴殿の日々を幸せに恙無くお過し下さいませ。

ありがとうございました。
さようなら。

◆石田三成
貴様からの書を消さなければと、思いながら手が止まる。

どれ程貴様を愛しく思っていたのか…。

待つ間に、負担になっていると一度浮かんでしまった考えは、安易に胸を染め上げた。故の離別。

別れた短な時に、胸を占めるは貴様の事ばかり。

抱きしめて、

唇を重ねて、

愛し合った、

その時の幸福感が心を真綿で締め上げる。

反応も待たず、繋がる書の宛名を書き換えた。これは貴様を傷付けてしまったろうか。

揺れる私の尻尾ばかりに貴様は触れていたな。狐の耳への接吻は擽ったいものだった。

政宗、貴様の負担を軽くしてやりたかった。それだけだ。

今でも愛している…その気持ちを抱き、暫し涙を流す事に許可を。

◆長曾我部元親
縋ってくれたのはアンタじゃねえか。言ったよなぁ、初めに。
…愛の囁き一つで騙される俺ァさぞ滑稽だろ?
次に途切れるときはサヨナラ、だ。終幕くらいは、俺が。

◆前田慶次
愛しているよと謂わなくなったのはあんたの心が離れて行くのが解っているから。

あんたに解りっこねえだろう。
俺はあんたが思うほど強くもなけりゃ淋しがりなんだけどさ。
我が儘謂わず物分かりいい男を演じてる。

あんたは今、誰を思ってんのかな。
俺じゃねえのは確かだけどさ。

もう愛してるは謂わない
綴らない。
求められるのが挨拶だけならそれにも従う
何よりそうしてる。
けど一つ約束してくれよ。

興味が失せたなら白紙を寄越す。

……あんたにとって価値のねえ男と文を交わす必要はねえだろ?
あんたが自分で口走った台詞に縛られ別れを切り出せずに居るのも解ってる。
けど想いが無いのに続ける挨拶に何の意味があんのかな。


辛い。

◆猿飛佐助
あの時…柄にも無く、目の前が真っ暗になっちまった。
思ったより衝撃受けてたみたいでさ、結構立ち直るにも時間が要ったんだぜ。

あんたは、初めて強い絆を教えてくれた人。
…そんでもって、初めての絶望を教えてくれた人だよ。

大丈夫、感謝こそ有れど憎んじゃいねえよ。あんたは大切な人だ、今までも、きっとこれからもな。
…ただ、この悲しみを癒していつもの笑顔であんたに会うために、此処を借りる。

もっと、強くなりてえよ。切実に。

◆真田幸村
竜は、…鳴いておりました。
喉が枯れる程に貴方様の名を乗せて。

…あの竜は、もう駄目でしょう。
絶えず雪の降り積もる極寒の中でありながら、長い事この場を離れ様としないのです。
…幾ら愛し名を口にすれど、無駄な事と彼自身が一番に解っているだろうに。

その身も心も…竜の全てが凍てつき、白い無に変わる前に。
…『あいしてる』と、最後にもう一度聞きたいと…竜は、申しておった。

…某は代理にござる。今や遠く離れた、忍びに宛てる。